1. ブタ卵母細胞における神経系中間径線維Neurofilament,GFAPおよびNestinの分布と機能 【目的】哺乳動物卵における中間径線維の生理学的な意義を明らかにするために,ブタ卵母細胞におけるNF,GFAP,Nestinの分布とその機能について検討した。【方法】未経産雌豚から採卵し体外成熟させ,GV,MIおよびMII期卵を準備した。各期の卵は固定(MTSB-XF)し,各中間径線維の局在を免疫蛍光染色と共焦点レーザー走査型顕微鏡によって調べた。【成績】ブタ卵には3種全ての中間径線維から構成される網目構造が認められた。またブタ卵には多胞性の脂肪滴が存在するが,DIC像と蛍光像を比較すると中間径線維のネットワークが脂肪滴を網の目のように包んでいた。卵細胞質の各中間径線維の平均蛍光強度は,MI期からMII期にかけNFは有意に増加したが,Nestinは減少した。他方,GFAPでは卵成熟中有意な濃度変化はなかった。とくに,NFはMI期で分裂装置の周囲に集中し始め,MII期では分裂装置のβ-tubulinの局在に重なるように,すなわち紡錘糸に重なるように陽性反応を示した。【結論】ブタ卵のNF,GFAPおよびNestinは単に細胞骨格としての機能だけでなく,脂肪滴移動への関与が伺われた。さらにNFは,減数分裂時の染色体分離に関与する可能性が示唆された。 2. ブタ卵母細胞における収縮性中間径線維Desminの分布と機能 【成績】ブタ卵母細胞質にDesminが検出され,蛍光強度はGV期からMII期にかけて増加した。MI期とMII期にかけて分裂装置がDesminで強染し,その蛍光強度は一次極体に匹敵して強かった。Desminに強染される部分はマイクロフィラメントの局在と重なっていた。【結論】Desminはマイクロフィラメントと協働して,卵表層へ分裂装置を配置している可能性が示唆された。
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