哺乳動物卵の成熟過程における中間径線維の分布と機能について検討した。ブタ卵ではケラチンとビメンチンは明確ではなかったが,ニューロフィラメント(NF),GFAP,ネスチンおよびデスミンの卵成熟に伴う動態を明らかにした。NF,GFAPおよびデスミンは卵の成熟に伴い蛍光強度が増加したが,ネスチンは減少した。興味深いことに, NF,GFAPおよびネスチンは脂肪滴移動への関与が示唆された。さらにNFは,染色体分離に関与する可能性が,またデスミンはマイクロフィラメントと協働して,分裂装置を卵表層へ配置している可能性が示唆された。細胞周期因子ならびにRhoキナーゼが中間径線維の分布に及ぼす影響も考察した。
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