研究課題/領域番号 |
24580408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
高坂 哲也 静岡大学, 農学部, 教授 (10186611)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | relaxin / RLF/INSL3 / 受容体LGR8 / 造精細胞 / 精巣 |
研究概要 |
24年度は計画通り研究を遂行し、以下の知見を得た。 1.ブタ精巣内の造精細胞における受容体分子LGR8の遺伝子・タンパク質の同定: ブタ精巣は、静岡県中小家畜研究センターのデュロック種より経時的に採取した。LGR8の特異抗体(申請者らにより既に作製済み)を用いてLGR8タンパク質の発現動態をWestern blotで調べた結果、その発現は性成熟に伴い上昇することがわかった。次に、免疫組織化学法により、LGR8タンパク質は造精細胞でのみ見出され、その発現は精祖細胞、精母細胞、円形精子細胞、伸長精子細胞と精子形成が進行していく順に増大することが明らかとなった。さらに、レーザーマイクロダイゼクション装置で造精細胞を切り取り、遺伝子発現をRT-PCRで調べた結果、同細胞群でLGR8 mRNAの発現を認めた。以上の知見より、ブタ精巣内の造精細胞でRXN様蛋白の受容体分子LGR8の遺伝子・タンパク質の発現が明らかとなった。 2.造精細胞で発現する受容体LGR8へのRXN様蛋白の結合とその分子間相互作用解析: ブタ精巣より単離した12 kDaのRXN様蛋白(Biochem. J. 2012)を基に、DTBTA-Euで標識し、生物活性を保持したRXN様蛋白のプローブを作製した。造精細胞の膜分画を申請者らの方法(J. Endocrinol, 2010)で調製し、本プローブとの結合をligand binding assayで調べた結果、プローブはKd値 8 nM、Bmax 2.24 x 106 CPSでhormone specificかつsaturableに造精細胞の膜画分に結合することが判明し、その結合は8.7 nMの未標識RXN様蛋白で競合的に阻害されることがわかった。以上、造精細胞で発現する受容体LGR8へのRXN様蛋白の結合とその分子間相互作用を明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度に計画した1)ブタ精巣内の造精細胞における受容体分子LGR8の遺伝子・タンパク質の同定と2)造精細胞で発現する受容体LGR8へのRXN様蛋白の結合とその分子間相互作用解析については、すべて目標を達成できた。従って、「研究目標の達成度」は適切であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は計画通りに組換え体RXN様蛋白の作製とそれを用いた造精細胞のアポトーシス抑制作用について検討を行う予定である。なお、組換え体の作製に時間が掛かることも想定されるため、長鎖ペプチドを用いた検討も予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度には研究費として請求額(直接経費)140万円を計上している。その内訳は、物品費90万円、旅費10万円、研究補助への謝金10万円、その他として論文校閲・掲載料30万円である。なお、前年度より繰り越した81円を併せて使用する。
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