研究課題
26年度は、計画通り「能動免疫ブタを用いたRXN様蛋白のアポトーシス制御作用の解析」を遂行し、以下の知見を得た。本研究では、雄ブタにおいて内因性RXN様蛋白の不活性化を図るために、RXN様蛋白のB鎖ペプチド34残基を抗原としてブタで能動免疫処理を行った。抗原ペプチドには、ブタと約85%の相同性を示すヤギRXN様蛋白を用い(Biol. Chem. 2013)、ペプチド合成後にN末端に卵白アルブミン(OVA)を付加した。対照区はOVAを用いた。能動免疫処理は、生後7週齢(未成熟)より開始し、性成熟期(28週目)まで行った。不活性化の指標となるRXN様蛋白の抗体価を調べた結果、免疫区では14週齢より抗体価が上昇し、18週齢で最大値となり、以降、恒常値を維持していたことから、能動免疫により内因性RXN様蛋白が不活性化されることが明白となった。次に、RXN様蛋白、LH、FSHおよびテストステロンの血中ホルモン動態を調べたところ、免疫区と対照区の間で相違のないことが分かった。しかし、精巣には甚大な影響が現れ、精巣重量は免疫区では対照区の約15%減少し、精子形成の場である精細管にダメージが認められた。とくに、精細管内の造精細胞の消失や、部分的な破壊が著しかった。TUNEL法によるアポトーシスの検出では、アポトーシスが造精細胞で見出され、その頻度は対照区に比べて4倍高いことが判明した。加えて、精液性状を調べたところ、免疫区では、正常精子の割合が対照区に比べて低く、逆に死滅精子や未成熟精子の割合が高いことが明らかとなった。以上、RXN様蛋白はブタ造精細胞においてアポトーシス抑制作用を発揮し、造精細胞の生存因子として精子形成の維持に関与することが示唆された。
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https://tdb.shizuoka.ac.jp/RDB/public/Default2.aspx?id=10880&l=0