研究課題/領域番号 |
24580413
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
小林 正之 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (50211909)
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キーワード | マウス / 初期発生 / 細胞分化 / ホメオタンパク質 / 転写因子 |
研究概要 |
1. 本研究の目的は、マウス胚において発見した新規転写因子EGAM1ホメオタンパク質群(3種)の胚発生における本質的な役割と標的遺伝子の全体像を解明し、胎仔と胚体外組織(胎盤と卵黄嚢)の形成や細胞機能を制御する新たな分子基盤を確立することである。平成25年度は、2. マウス胚においてEGAM1ホメオタンパク質群遺伝子をノックダウンするための準備研究、および本実験を開始した。また、3. EGAM1ホメオタンパク質群の機能ドメインに関する研究、を継続して行った。更に、4. EGAM1ホメオタンパク質群と結合する転写因子群の探索を開始した。 2. マウス胚の発生におけるEGAM1ホメオタンパク質群の機能を明らかにするために、H25年度に開発したアンチセンスモルフォリノオリゴ法を使った標的mRNA発現のノックダウンマウス胚を作製するための基盤技術を応用して、胚発生において既にその重要性が確立しているOct4遺伝子の発現阻害を試みたところ、OCT4タンパク質の明確な減弱が認められた。すなわちアンチセンスモルフォリノオリゴ法により、胚発生におけるEGAM1ホメオタンパク質群の機能を解析できる見通しが立った。 3. EGAM1およびEGAM1Cタンパク質が核に局在するために重要なアミノ酸残基がC末端側ホメオドメイン内に含まれることを明らかにした。 4. EGAM1ホメオタンパク質群と結合する転写因子群を探索するために、GSTプルダウン法を適用することを計画している。そこで、GST融合EGAM1ホメオタンパク質群発現ベクター(3種)を構築した。また、これらの発現ベクターをマウスES細胞に遺伝子導入することにより、GST融合EGAM1ホメオタンパク質群発現マウスES細胞株を樹立した。細胞破砕液を調製して予備的にGSTプルダウン法をおこなったところ、複数の転写因子がEGAM1ホメオタンパク質群と結合する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンチセンスモルフォリノオリゴ法により、胚発生におけるEGAM1ホメオタンパク質群の機能を解析できる見通しが立った。ただし、Chip-Seq法を用いて当該タンパク質群が結合するプロモーターDNAを網羅的に調べる実験計画は次年度以降に持ち越した。 EGAM1およびEGAM1Cタンパク質が核に局在するために重要なアミノ酸残基がC末端側ホメオドメイン内に含まれることを明らかにできたことは大きな進展である。また、EGAM1ホメオタンパク質群と複数の転写因子が結合する可能性が示されたことは非常に重要である。所期の目標設定に照らしてみて、これらの進捗状況はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
1. マウス胚の細胞運命の決定におけるEGAM1ホメオタンパク質群の関与を明らかにするために、平成24年度に確立した基盤技術を応用して、アンチセンスモルフォリノオリゴを使って標的mRNA発現を個ノックダウンした胚を作製する。マウス1細胞期卵を受精後5日まで培養し、形態的に異常がおこる胚の出現頻度を対照と比較する。胚を免疫染色してマーカータンパク質を検出し、内部細胞塊(マーカーはNANOG)・栄養外胚葉(CDX2)・原始内胚葉(GATA6)の形成不全や細胞数の増減がおこるか定量的に調べ、当該タンパク質群の役割を直接的に解明する。当該研究を遂行するために、H25年度から繰り越した研究費も充当する予定である。 2. 樹立済の当該タンパク質群を個別に強制発現させたES細胞より、Chip法を用いて当該タンパク質群結合ゲノムDNA領域(プロモーターDNA)を精製する。次に、次世代シークエンサーによりゲノムDNA領域の塩基配列を網羅的に決定後、どの遺伝子のプロモーターDNAに結合したのかデータベースと照合して同定する。EGAM1ホメオタンパク質群の直接的な標的遺伝子を見つけるために、当該タンパク質群が結合するプロモーターDNAをChip-Seq法により網羅的に調べる。当該研究を遂行するために、H25年度から繰り越した研究費も充当する予定である。 3. EGAM1ホメオタンパク質群による転写調節メカニズムを明らかにするために、H25年度における予備的検討により見出された複数の転写因子と当該タンパク質群との結合について実証する。当該研究を遂行するために、H25年度から繰り越した研究費も充当する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度においてアンチセンスモルフォリノオリゴによるノックダウン胚の作製を予定していたが、検証実験を詳細に行ったことによりH26年度に持ち越したため、次年度予算が生じる一因になった。 EGAM1ホメオタンパク質群と他の転写因子との結合について、H25年度において優先的に研究を遂行した。そのためにH25年度に実施予定であったChip-Seq法を用いた実験についてH26年度に移動したので、次年度予算が生じる一因になった。 H25年度において、アンチセンスモルフォリノオリゴによるノックダウン胚の作製を予定していた。H25年度ではマウス初期胚へのモルフォリノオリゴ導入に係る基盤技術を確立することができたので、当該技術によるノックダウン胚の作製はH26年度に行うことにした。従って、H26年度の研究費とあわせてH25年度から繰り越した研究費も充当する。当初、H24年度に実施予定であったChip-Seq法を用いた実験をH26年度に移動した。従って、H26年度の研究費とあわせてH25年度から繰り越した研究費も充当する。 その他、従来から計画しているEGAM1ホメオタンパク質群と結合する転写因子群の探索について、H26年度の研究費とあわせてH25年度から繰り越した研究費も充当する。
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