研究課題
1. 本研究の目的は、マウス胚において発見した新規転写因子EGAM1ホメオタンパク質群(3種)の胚発生における本質的な役割と標的遺伝子の全体像を解明し、胎仔と胚体外組織(胎盤と卵黄嚢)の形成や細胞機能を制御する新たな分子基盤を確立することである。2. マウス胚の発生におけるEGAM1ホメオタンパク質群の機能を明らかにするために、平成25年度から開発したアンチセンスモルフォリノオリゴと遺伝子導入試薬Endo-Porterを使った標的mRNA発現のノックダウンマウス胚を作製する技術を完成した。胚発生において既にその重要性が確立しているOct4遺伝子の発現阻害を引き起こすことに成功し、平成26年度にはOct4ノックアウト胚と同一な表現型が得られることをほぼ明らかにした。平成27年度では,これらの結果を再検証し,十分な再現性が得られることを確認した。現在,原著論文として投稿中である。また、当該法によるEGAM1ホメオタンパク質群のノックダウンの実験例数を重ね,胚を構成する細胞数が減少することを見出した。3. 平成26年度において,未分化状態維持に対するEGAM1Nの機能を解明するために、EGAM1N発現ES細胞を作出した。既に当該細胞により、EGAM1Nは未分化状態の安定化をもたらすことにより,胚発生の初期段階において重要な機能を発揮している一端を示した。平成27年度では,EGAM1N引き続きEGAM1N強制発現ES細胞を用いた検討を継続した。すなわちEGAM1Nは,胚発生の初期段階のみならず,成体マウスにおいて種々の組織において発現していることが判明している。そこで,EGAM1Nが終末分化においても細胞分化に影響するこ可能性について検討した。その結果,本来,EGAM1Nの発現が検出されない心筋細胞にEGAM1N発現ES細胞を分化誘導したところ,心筋が形成されないことが判明した。以上の検討より,EGAM1Nは胚発生の初期段階のみならず,終末分化にも影響することを示した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) 備考 (1件)
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