研究課題/領域番号 |
24580418
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
中牟田 信明 岩手大学, 農学部, 准教授 (00305822)
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研究分担者 |
保田 昌宏 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10336290)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 鋤鼻器 / 肛門腺 |
研究概要 |
フェロモンは同種他個体に作用し、生理的変化や特定の行動を引き起こす物質であるが、その分子的実体やフェロモンの受容機構については良く分かっていない。本研究では、神経細胞の活性化によって発現が誘導されるc-Fos タンパクと、フェロモンを受容する鋤鼻受容体遺伝子の転写産物との二重染色により、キノボリトカゲの肛門腺に含まれるフェロモンの受容体を同定し、爬虫類フェロモンの実体と鋤鼻系を介した情報伝達機構の解明につなげることを目的とする。 平成24年度はまず、肛門腺フェロモンの分離・抽出を試みた。雄のキノボリトカゲから肛門腺を採取して抽出液を調製し、それをしみ込ませた綿でトカゲの鼻先に触れ、神経活性化の指標であるc-Fos タンパクの発現が鋤鼻器において誘導されるかを免疫組織化学によって調べた。実験にはトカゲの活動が活発な春から夏にかけて採取した肛門腺抽出液を使用し、トカゲの活動性が低下し、肛門腺に含まれるフェロモンの量も少ないと予想される秋から冬にかけて採取した肛門腺の抽出液を陰性対照とした。 さらに、鋤鼻受容体遺伝子のクローニングを試みた。脊椎動物の鋤鼻受容体にはN 末端の細胞外ドメインが短い1 型(V1R)と長い2型 (V2R)の2タイプがあり、それぞれ別の遺伝子ファミリーによってコードされている。V1R 遺伝子については、キノボリトカゲのゲノムDNA を鋳型としてPCR を行うため、他の動物の遺伝子との間で比較的保存性の高い領域からプライマーを設計した。V2R 遺伝子については、V1R 遺伝子と異なりイントロンを持つため、キノボリトカゲ鋤鼻器のmRNA から出発してRT-PCR を行うためのプライマーを設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の研究計画がほぼ予定通りに実施されているだけでなく、本研究課題の目的であるフェロモン受容機構の解明にとって、特に重要と思われる基礎的なデータの取得にも成功した。すなわち、オキナワキノボリトカゲの鋤鼻器を電子顕微鏡で観察することによって、細胞の微細形態学的特徴が明らかになった。さらに、オキナワキノボリトカゲの鋤鼻器と嗅球をレクチン組織化学的および免疫組織化学的に解析し、それらの組織における糖鎖発現や、嗅覚受容体と共役するGタンパクの発現が明らかになった。これらの成果の一部については既に学会発表を行い、学術雑誌へ投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
クローニングに成功し、鋤鼻器における発現が確認できた全ての鋤鼻受容体遺伝子についてin situハイブリダイゼーションとc-Fos タンパクの二重染色を行い、キノボリトカゲの肛門腺に含まれるフェロモンが、どの鋤鼻受容体を発現した細胞で受容されているかを絞り込む。 肛門腺フェロモンの受容に関わる鋤鼻受容体遺伝子を発現した細胞ならば、フェロモンを含んだ肛門腺抽出液で刺激した時にのみ活性化してc-Fos 陽性となり、フェロモンを含まない抽出液の時はc-Fos 陰性のはずである。 フェロモン特異的な鋤鼻受容体遺伝子が絞り込めたら、その遺伝子産物に対する抗体を作製し、免疫組織化学によって鋤鼻器における受容体発現細胞の分布や、その細胞が軸索を副嗅球のどこに投射しているかを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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