研究課題/領域番号 |
24580419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
木崎 景一郎 岩手大学, 農学部, 准教授 (40337994)
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研究分担者 |
橋爪 一善 岩手大学, 農学部, 教授 (10355737)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | HBEGF / 幹細胞 / 子宮 / 着床 / ウシ |
研究概要 |
着床現象を左右すると考えられる子宮内膜幹細胞の微小環境(ニッチ)に焦点をあて,ヘパリン結合性EGF様増殖因子(HBEGF)のニッチシグナル因子としての役割を明らかすることを目的とし,今年度はウシ子宮内膜におけるHBEGFの作用部位・時期の特定および培養子宮内膜細胞への生物活性について検証した。 HBEGFの作用部位・時期特定のため,発情周期,着床期,妊娠初期,中期および後期の子宮小丘と小丘間領域内膜におけるEGFRおよびErbB 系の発現を定量的RT-PCR法により解析した。EGFRおよびErbB2の発現は着床期以降の子宮小丘において増加していたが,ErbB3では顕著な変化は認められなかった。一方,ErbB4では妊娠初期以降,小丘間部領域で増加していた。着床期以降に著しい増殖を示す子宮小丘部内膜において,HBEGFの受容体として機能するEGFRおよびEGFRの二量体化に関わりシグナル伝達の活性化を促すErbB2の発現が増加していたことから,内膜幹細胞は着床期以降の子宮小丘に豊富に存在する可能性が示唆された。 子宮内膜細胞へのHBEGFの生物活性を明らかにするため,培養子宮内膜細胞への増殖・遊走作用を検討した。ウシ子宮内膜から分離,培養した間質細胞および上皮細胞に組換え型HBEGF(1-100 ng/mL)を処理したところ,間質細胞ではHBEGFの濃度依存的に増殖能と遊走能が増加したが,上皮細胞では増殖,遊走作用は認められなかった。これらの結果は,HBEGFの標的細胞は子宮内膜間質細胞であること,そして幹細胞が間質に存在する可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
受容体と受容体シグナル伝達に関与する遺伝子の発現解析および子宮内膜から分離した細胞群への生物活性の結果から,子宮内膜幹細胞の存在部位および時期の推定が可能となった。今後,子宮内膜幹細胞の直接的な同定および特異遺伝子群の解析,胎子側細胞との細胞間情報伝達の分子機構を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
子宮内膜幹細胞の直接的同定のためのマーカー選定が重要であるが,他種においても特異的なマーカーの存在は明らかにされていない状況である。従って,より多くの候補因子について検討し,効率的な幹細胞同定を実施すると共に,内膜幹細胞を含むと考えられる培養系での実験についても同時に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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