研究課題/領域番号 |
24580419
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
木崎 景一郎 岩手大学, 農学部, 准教授 (40337994)
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研究分担者 |
橋爪 一善 岩手大学, 農学部, 教授 (10355737)
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キーワード | HBEGF / 幹細胞 / 子宮 / 着床 / ウシ |
研究概要 |
前年度の結果から,ウシ子宮内膜の小丘領域にEGFRおよびErbB2を発現する内膜幹細胞が存在することが示唆されたことから,今年度は小丘領域と相互作用し,胎盤節を形成する胎子側絨毛叢・栄養膜細胞におけるHBEGF,EGFRおよびErbB系について検証した。 in vivoの絨毛叢における各因子の発現について定量的RT-PCR法で調べたところ,EGFRおよびErbB系因子は着床期から妊娠後期にかけて普遍的に発現していた。さらに,HBEGFも発現していたが,妊娠周期に基づく顕著な発現変化は認められなかった。昨年度に得られた子宮内膜における結果と考え合わせると,子宮小丘領域に存在すると推測される内膜幹細胞は,栄養膜細胞が発現するHBEGFあるいはEGFRを介してJuxtacrine的に相互作用している可能性が示唆された。 in vitro培養系における機能解析を進めるため,ウシ栄養膜細胞系(BT細胞系)における各因子の発現について検討した。使用したBT-1およびBT-AからL の13細胞系列においてHBEGFの普遍的な発現は認められたが,TGF-aやFGF-2等の増殖因子群は細胞系列によって発現動態が異なっていた。これらの結果は,HBEGFが栄養膜細胞系の機能発現に重要な役割を果たしていることを示している。また,EGFRおよびErbB系因子も13細胞系列において発現が認められたことから,Juxtacrineを介した内膜幹細胞との相互作用解析に有用なツールとして使用できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮内膜,絨毛叢および培養栄養膜細胞系における発現解析の結果から,子宮内膜幹細胞と栄養膜細胞の相互作用様式を推定できた。今後,推定された作用様式の細胞間情報伝達分子機構を詳細に検討する。
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今後の研究の推進方策 |
子宮内膜幹細胞同定のためのマーカーとしてIntegrin beta 1のcDNAをクローニングし,その発現を検索したところ,子宮小丘領域に発現していることがわかった。他の幹細胞マーカーについても検索すると共に,培養系での実験についても進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度予算執行では海外での成果発表を予定し外国出張経費を計上していたが,日程上の問題で外国出張が出来なかったため翌年度への繰越が生じた。 平成26年度には海外での成果発表を念頭に置き準備を進めるが,子宮内膜幹細胞同定のマーカー検索にも資材が必要にもなることから,研究の進捗状況によっては資材購入に充てることも考慮する。
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