研究課題
H26年度はFasciola hepaticaと単為生殖型肝蛭(F. gigantica系統の2倍体個体)の交雑により作出した交雑子孫F1の3倍体、およびそのF2子孫虫体についてTCBZ感受性について検討した。すなわちF1およびF2感染ラットにTCBZを投与して2週間後にラットを剖検して胆管に寄生する虫体の有無について観察した。その結果、F1およびF2肝蛭は回収されず、Fasciola hepaticaと単為生殖型肝蛭の交雑により作出したF1およびF2子孫はTCBZ感受性であることが判明した。これまでの研究成果から肝蛭種間の交雑によりTCBZ耐性肝蛭は作出出来ないことが明らかになったため、本研究においてはTCBZ耐性肝蛭を得ることが出来ず、当初予定していた虫卵孵化試験法の開発には至らなかった。今後は、野外調査においてTCBZが繰り返し投与されている感染家畜の屠殺・剖検により、その胆管から得られた虫体をTCBZ耐性虫体の候補として回収し、その子宮内虫卵の回収、虫卵培養、ミラシジウム孵化と中間宿主貝への感染によりメタセルカリアを作出し、それを終宿主へ感染させてTCBZ投与によりTCBZ耐性肝蛭を得ることが必要であると考えられた。また、日本での実験感染を容易にするためにはヒメモノアラガイ感受性のTCBZ耐性虫体を厳密に選別することが必要であると考えられた。これらの教訓を糧に将来的には単為生殖型肝蛭のTCBZ耐性を評価する虫卵孵化試験法の開発を実現したいと考えている。
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