研究課題/領域番号 |
24580421
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
新井 浩司 東京農工大学, 農学部, 准教授 (70293016)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生理学 / 動物 / 生体分子 / 生理活性 / シグナル伝達 |
研究概要 |
インヒビンは下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を特異的に抑制するが、その作用はFSHβ鎖mRNAの3’末端非翻訳領域(3'UTR)を介して発揮されるのではないかとの仮説に基づき、FSHβ鎖mRNAの3'UTRを欠失した変異マウスの作製を試みた。作製法は通常のノックアウトマウスと同様、相同組換えを用いるものであるが、3’UTRのみを欠失させるという特殊なターゲティングベクターの構築が必要とされるためベクター作製に予定よりも時間がかかり、未だ変異マウスの作製には至っていない。現在相同組み換え用のロングアーム部分と、FSHβ鎖mRNAの3’UTRの代わりにLHβ鎖の3’UTRを挿入したDNAをつなぎ合わせたコンストラクトを作製し、そこにネオマイシン発現カセットを挿入した段階である。また、本研究ではインヒビンの作用を検討するために多量のインヒビンを必要とするが、商業的に入手可能なインヒビンが存在しないためCHO細胞での組換え型インヒビンの作製を試み、20クローンを選択した。現在インヒビンの入手が困難であるため、インヒビン高発現株が得られればその有用性は高い。さらにインヒビンと同様の作用を示すフォリスタチンについては高発現CHO細胞株の作製に成功し、簡便な精製法も確立した。また、CMVプロモーター下流にルシフェラーゼ遺伝子を挿入し、さらにFSHβ鎖mRNAの3'UTRを連結したレポーターコンストラクトを作製し、これを下垂体性腺刺激ホルモン産生細胞由来のαT3-1細胞にトランスフェクションしてインヒビンに対する反応性を検討した。その結果、インヒビンによるレポーター遺伝子発現への影響は観察されなかったが、FSHβ鎖mRNAの3'UTRの存在によりmRNAが不安定化することが示唆され、FSHβ鎖mRNAの3'UTRがFSH分泌調節に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インヒビンはFSHβ鎖mRNAの3’UTRに作用してその安定性を低下させてFSH分泌抑制作用を発揮しているのではないかとの仮説に基づきFSHβ鎖mRNAの3'UTRを欠失した変異マウスの作製を試みたが、通常のノックアウトマウス作製用ターゲティングベクターの構築と異なり、3’UTRのみを欠失させるというやや特殊なターゲティングベクターの構築が必要とされるため、その作製に予定よりも時間がかかり未だ変異マウスの作製には至っていない。現在、相同組み換え用のロングアーム部分と、FSHβ鎖mRNAの3’UTRの代わりにLHβ鎖の3’UTRを挿入したDNAをつなぎ合わせたコンストラクトを作製し、そこにネオマイシン発現カセットを挿入した段階であり、さらに相同組み換え用のショートアームとネガティブ選択用のジフテリアトキシン発現カセットを挿入する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
FSHβ鎖mRNAの3'UTRを欠失した変異マウスを作製するため、変異マウス作製用のターゲティングベクター構築を早急に行う。現在7割方ターゲティングベクターは完成しており、残る作業は通常のターゲティングベクター構築とさほど変わらないためターゲティングベクターを完成させるにはそれほど時間はかからないと予測される。ターゲティングベクター完成後は理化学研究所変異マウス作製ユニットに依頼して目的の変異マウスを作製し、その内分泌学的な特性を明らかにする。また、CMVプロモーター下流にルシフェラーゼ遺伝子を挿入し、さらにFSHβ鎖mRNAの3'UTRを連結したレポーターコンストラクトはαT3-1細胞においてインヒビンに対する反応を示さなかったため、LβT2など他の下垂体性腺刺激ホルモン産生細胞由来の細胞株を検討する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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