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2013 年度 実施状況報告書

黄砂・ナノ粒子の生体影響:多重曝露後のナノ粒子の挙動

研究課題

研究課題/領域番号 24580425
研究機関麻布大学

研究代表者

島田 章則  麻布大学, その他部局等, 教授 (20216055)

キーワード黄砂 / ナノ粒子 / 肺傷害 / エンドサイトーシス / カベオリン / カベオラ小胞
研究概要

黄砂およびPM2.5の頻度および車両の交通量増加に伴う浮遊粒子状物質(黄砂、排気ガス中のナノ粒子)の健康への影響を検討する目的で、平成25年度は、マウスの気道に黄砂およびディーゼル排気粒子に代表されるナノ粒子を曝露(単一、多重)し、それによる肺 ・生体への影響、特に、黄砂曝露時の急性肺組織傷害下でのナノ粒子多重曝露によるナノ粒子の挙動(肺胞壁通過、全身循環)に注目した。特に、当該年度に中国からの越境大気汚染(PM2.5)が深刻であることが判明し、我が国において大きな関心を呼んだことから、本課題の意義・重要性を改めて確認した。
マウスへの気道内曝露実験により、肺胞壁の傷害像(電顕レベルでの肺胞上皮細胞の剥離、肺胞上皮細胞間の間隙形成、血管内皮細胞・肺胞上皮細胞細胞質内の小空胞形成:物質輸送を示唆)、すなわち空気血液関門の脆弱化を示唆する所見が見られた。黄砂発生時に、野外で排気ガスや越境大気汚染物質(PM2.5)を同時に曝露(多重曝露)されると、黄砂の急性傷害により傷ついた肺胞壁から、他の粒子状物質、特に超微細なナノ粒子が体循環系に侵入する危険性があることが示唆された。また、黄砂曝露に引き続きナノゴールド粒子を曝露したところ、傷害を受けた肺胞壁の構造、すなわち、肺胞上皮細胞、基底膜、血管内皮細胞に曝露されたナノ粒子(ナノゴールド粒子)の集積、付着が電顕レベルで確認された。肺胞上皮細胞および血管内皮細胞の細胞質内には、物質輸送に関連する小空胞の増加が見られ、それらは、カベオラ小胞の構成蛋白であるカベオリン蛋白陽性像を示した。ウェスタンブロットを用いた組織蛋白の解析によってもカベオリン蛋白発現の増強が確認された。以上の結果から、黄砂曝露を受け傷害が発生した脆弱な肺胞壁からナノ粒子がカベオラ小胞を介したエンドサイトーシスにより体循環系に侵入する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の実験で、黄砂曝露による肺胞壁の傷害像(電顕レベルでの肺胞上皮細胞の剥離、肺胞上皮細胞間の間隙形成、血管内皮細胞・肺胞上皮細胞細胞質内の小空胞形成:物質輸送を示唆)、すなわち空気血液関門の脆弱化を示唆する所見が見られた。黄砂曝露に引き続きナノゴールド粒子を曝露したところ、黄砂曝露を受け傷害が発生した脆弱な肺胞壁からナノ粒子がカベオラ小胞を介したエンドサイトーシスにより体循環系に侵入する可能性が示唆された。これらの急性所見は、当初の計画で期待された成果である。

今後の研究の推進方策

平成26年度は、生体へ侵入したナノ粒子の生体内での動態(蓄積・代謝・遊離・排出)の確認を金属分析の手法を用いて実施する。また、粒子の生体(免疫系)への影響および影響発生のメカニズム(細胞内小器官傷害の有無)を病理学的に解析する。

次年度の研究費の使用計画

実験実施中に解析予定のマウスが死亡したため、当初計画した必要な試薬の購入が不要となり、前年度未使用額(2,999円)が生じた。
死亡個体を補てんする実験を追加実施し、病理解析に本未使用額を充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Ultrastructural changes in the air-blood barrier in mice after intratracheal instillation of Asian sand dust and gold nanoparticles.2013

    • 著者名/発表者名
      Rattanapinyopituk K, Shimada A, Morita T, Togawa M, Hasegawa T, Seko Y, Inoue K, Takano H.
    • 雑誌名

      Exp Toxicol Pathol

      巻: 65 ページ: 1043-1051

    • DOI

      10.1016/j.etp.2013.03.003. Epub 2013 Apr 26.

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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