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2012 年度 実施状況報告書

疼痛伝達脊髄二次ニューロンにおけるガスメッセンジャーの機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 24580426
研究種目

基盤研究(C)

研究機関鳥取大学

研究代表者

高橋 賢次  鳥取大学, 農学部, 准教授 (00400143)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード疼痛 / 知覚神経 / ガスメッセンジャー
研究概要

今年度は本研究の初年度であり,知覚神経の伝達に対してどのようにガスメッセンジャーが関与しているかを明らかにする目的で,脊髄内の知覚神経二次ニューロンに対するガスメッセンジャーの作用を明らかにすることを試験した.まず初めに,解析を実施するための実験系を確立した.また,今年度はガスメッセンジャーのうち,現在最も注目されている硫化水素による作用の
を解析した.測定に際し,対象動物は標本の大きさを確保するためラットを用い,脊髄スライスの潅流標本を用いたパッチクランプ法を実施した.
知覚神経は末梢の一次求心性のニューロンが脊髄内で二次ニューロンに信号が伝達される.この二次ニューロンに対してパッチクランプ法を適用し電気生理学的にシナプスの活性化を測定すると,種々の膜電位で固定した条件下で得られる自発的な興奮性あるいは抑制性ニューロンのインパルスが得られる.これらの活性化に対する硫化水素の作用を評価した.硫化水素は,末梢の一次ニューロンに対して発痛性の刺激作用を示すことを既に明らかにしたが,脊髄内の二次ニューロンに対して硫化水素は興奮性および抑制性のニューロンに対して活性化あるいは抑制的に作用することが示された.脊髄中にはさまざまな特徴をもつニューロンが存在することから,それぞれに対して硫化水素が異なる作用をしたと考えられた.
さらには,硫化水素の作用を検討する上で硫化水素のターゲットの1つであるtransient receptor potential ankyrin 1(TRPA1)チャネルの細胞内領域に対する活性化機構を明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は知覚神経の伝達に対してどのようにガスメッセンジャーが関与しているかを明らかにする目的で,1)評価系の確立、2)ガスメッセンジャーの作用を明らかにすることを計画した.対象とした脊髄標本における測定を確立し,3種類の代表的なガスメッセンジャーのうちの最も新しい因子である硫化水素の作用を評価することができた.この点から,今年度の目的の主要な部分について達成したと言える.次年度はこれらの結果を継続・発展させ,種々のガスメッセンジャーの作用あるいはそれらの相互作用について実施する.

今後の研究の推進方策

24年度の成果を基に更に解析を進め,知覚神経二次ニューロンに対する各ガスメッセンジャーの機能とそれらの相互作用を明らかにする.また,これらのガスメッセンジャーの作用機序を明らかにするために阻害剤等を用いて部位の特定を試みる.更には,神経因性疼痛モデルを用いた二次ニューロンのガスメッセンジャーに対する応答変化の解析を行いガスメッセンジャーが内因性あるいは外因性にどのように作用しうるかを解析する.25年度にこれらのモデル作製の検討を開始する.モデル動物より採取した脊髄スライス標本において,ガスメッセンジャー単体あるいは複合曝露による応答を測定する.また,後根神経刺激した二次ニューロンの応答についてもガスメッセンジャーの作用の変化を明らかにし,神経伝達のより詳細な検討を加える.そして,これらの阻害剤を投与したとき,神経因性疼痛モデル動物の行動にどのような作用があるかを評価する.神経因性疼痛という病態においてガスメッセンジャーがどのように関与しているかを正常状態の脊髄スライス標本による結果と比較しながらin vivoの機能を明らかにする.

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Low pH enhances 2-aminoethoxydiphenyl borate-induced cell death of PC12 cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Takahashi K. and Ohta T.
    • 雑誌名

      Toxicology Letters

      巻: 215 ページ: 161-166

    • DOI

      10.1016/j.toxlet.2012.10.013.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] H(2)S functions as a nociceptive messenger through transient receptor potential ankyrin 1 (TRPA1) activation.2012

    • 著者名/発表者名
      Ogawa H, Takahashi K, Miura S, Imagawa T, Saito S, Tominaga M, Ohta T.
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 218 ページ: 335-343

    • DOI

      10.1016/j.neuroscience.2012.05.044.

    • 査読あり
  • [学会発表] 2-Aminoethoxydiphenyl borateによるPC12細胞の酸依存性細胞死誘発作用2013

    • 著者名/発表者名
      高橋賢次,横田緑苗,太田利男
    • 学会等名
      日本獣医学会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20130328-20130330
  • [学会発表] External low pH enhances TRPA1-mediated acute pain by hydrogen sulfide.2013

    • 著者名/発表者名
      Takahashi K., Ohta T.
    • 学会等名
      日本薬理学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      20130321-20130323

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公開日: 2014-07-24  

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