研究課題/領域番号 |
24580430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (40168828)
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研究分担者 |
水谷 哲也 東京農工大学, 農学部, 教授 (70281681)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 縮重塩基プライマー / 次世代シーケンス / 糞便DNA / 高速相同性検索 / 網羅的ウイルス検出 / プライマー設計プログラム |
研究概要 |
試料中から広範囲のウイルスを増幅・検出可能な方法を開発するため、下記のプライマーの設計、実験、分析および方法の改善を実施した。 ① 縮重プライマー設計プログラムの改善: 縮重プライマーは多種生物のゲノムとハイブリダイズする可能性があるため、ウイルス分離中の試料に含まれる細菌真菌類等の塩基配列にもハイブリダイズする。公共データベースおよび過去の実験結果から網羅的なcDNA やゲノムデータを入手し、独自開発プログラムを改善した。ウイルスに加え、細菌についても種・株および血液型同定用のプログラムを開発した。② 縮重プライマーによる増幅条件の検討: ①のプログラムにより設計された縮重プライマーについて、ウイルスを限定的に増幅する条件を検討した。多様な位置に縮重塩基を持つプライマーを用いてウイルスゲノムが少量でも増幅が起きる条件を明確にした。③ deep シーケンス分析プログラムの開発:牛および野鳥の糞便試料について、次世代シーケンスを共同研究者の保有するシーケンサーを利用して塩基配列決定を実施した。得られた結果について、deep シーケンスに着目し、病原体を含む微生物由来配列の同定方法について検討した。このため、大量の次世代シーケンスデータからウイルス配列を非特異的増幅産物から分別して同定するために、相同性検索ソフトUSEARCH を利用したプログラムを設計した。④ 網羅的ウイルス検出方法の検証: これらの改善を、連携研究者(北海道総合研究機構 長 雄一)から送付される未知試料を用いて検証した。その際存在が有力なウイルス科を始めとして、対象ウイルス科を広げるように探索を設計した。縮重塩基を含むウイルス増幅用プライマーによる増幅結果と次世代シーケンスデータの処理方法の一部については日本獣医学会学術集会で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計および分析のサイクルは1回に限定したが、当初予定していた網羅的ウイルス検出用のプライマー設計プログラムでの効率が想定以上に得られ、加えて細菌を分析するためのプライマーが設計された点で、当初の目的の、次世代シーケンスによる網羅的な病原体検出のための研究は着実に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に作成したプログラムを用い、糞便DNA/RNAなどの試料での増幅および次世代シーケンス分析を実施する。その結果に基づいてプライマー設計プログラムおよび検出方法を改善する。平成24年のプライマー設計アルゴリズム自体の効果はPCR結果で示されているため、平成25年度の次世代シーケンスの結果に基づき、より多くの縮重塩基を含み利用範囲が広く、増幅効率が低いプライマーの設計と検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
プライマー合成費用、次世代シーケンス実施費用、計算機改善(部品の交換およびクラウドサーバー構築・利用)および研究補助者への謝金に使用する。
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