研究課題
前年度までの試行から、① 次世代シーケンスの配列分析では64倍以上の増幅であれば有意に検出できる ② PCR増幅反応が次世代シーケンス用試料中で効果的に進行するためには30サイクルの増幅で増幅産物が目視できるような増幅反応の特異性が必要になる ③ PCRの増幅反応が他の増幅反応に影響し始めるのは1,000倍程度以上増幅してからである ④ 多くの臨床データでは病原体検出の対象はウイルスのみではなく、細菌の検出も求められる。ということが判明した。これらの前提に対応するため、試料中からウイルスだけではなく細菌をPCRにより増幅可能なプライマーセットを網羅的に設計するため、下記の点でプライマー設計プログラムを全面的に改善した。1 多数のウイルスおよび細菌遺伝子でプライマーを設計するため、相互の相同性を元に相互に相同性の高い遺伝子のクラスターを自動生成し、遺伝子配列を整列する。2 整列された遺伝子配列を元にそれらの90%と一致する縮重塩基を含むプライマーを設計した。3 プライマー設計対象遺伝子を持つウイルスまたは細菌種の数が最大となるように遺伝子クラスターを選択した。その際にはグリーディーアルゴリズムを利用した。4 最低数のプライマーで最大種数のウイルスおよび細菌が増幅可能なプライマーセットにより増幅されたウイルスおよび細菌遺伝子を検出するため、次世代シーケンス用メタゲノム解析プログラムを作成した。この過程によって作成されたウイルスおよび細菌プライマーにより糞便抽出DNA中のウイルスおよび細菌の遺伝子を増幅し、次世代シーケンスのリード中のウイルスおよび細菌遺伝子の検出を試みた。この試行により、非増幅メタゲノム分析に比べウイルスおよび細菌の検出効率が高い遺伝子検出システムが作出された。
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