研究課題/領域番号 |
24580431
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
半澤 惠 東京農業大学, 農学部, 教授 (00181032)
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キーワード | ウズラ / MHC / TRIM / CD1 / DNA多型 / ハプロタイプ / LEI0258 / ニワトリ |
研究概要 |
1.拡張MHC領域の構造解析 ニホンウズラ主要組織適合性複合体領域(拡張MhcCoja領域)のもっともセントロメア寄りにBG/LEC亜領域に隣接するTRIM亜領域(5遺伝子座)を同定した.またもっともテロメア寄りにMHC class I亜領域に隣接するCD1亜領域(6遺伝子座)を同定した.これら亜領域の位置関係はニワトリと相同であったが,CD1亜領域の下流にニワトリでは染色体上の位置が特定されていない精子尾部構成タンパク質をコードするODF3遺伝子2座位を確認した. 2.多型カタログの作成 (1)高密度DNA多型マーカーの設計:セントロメア側より順に,TRIM亜領域に4種類(HEP21,TRIM39.2,BTN1およびBTN2),MHC class IIB亜領域に3種類(DCB1, TAPBPおよびDBB1),MHC class I亜領域に4種類(DMB1,DMB2,TAP1およびTPA2),CD1亜領域に2種類(CD1.1およびCD1.2),約300-kbの領域に計13種類のDNA多型マーカーを構築した. (2)ハプロタイプ解析:11系統642個体を供試して,上記13マーカーのタイピングとハプロタイプ解析を実施中である.これまでに,DCB1~TAPBP~DBB1,DMB1~DMB2,TAP1~TAP2およびCD1.1~CD1.2は,それぞれハプロタイプブロックを形成していること,ならびにそれ以外の遺伝子座間には組換え領域が存在すること示唆された, (3)各ハプロタイプの遺伝子構造の比較:DBB1~Tapasin~DCB1,DMB1~DMB2,TAP1~TAP2およびCD1.1~CD1.2の構造は主要8ハプロタイプで共通していたが,MHC class IIB遺伝子座数のハプロタイプ間差が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.拡張MHC領域の構造解析 目標としたTRIM亜領域およびCD1亜領域の構造解析は概ね達成され,それぞれ雑誌論文として発表した.加えてCD1亜領域の下流にニワトリでは染色体上の位置が特定されていない精子尾部構成タンパク質の一種をコードするODF3遺伝子2座位を確認した. 2.多型カタログの作成 (1)高密度DNA多型マーカーの設計:それぞれTRIM亜領域およびCD1亜領域に鳥類における最初のDNA多型マーカーを4種類および2種類,計6種類設定した.また,MHC class IIB亜領域に3種類,MHC class I亜領域に4種類のDNA多型マーカーを設定した.約300-kbの領域に既存のマーカーを併せ,計13種類のDNA多型マーカーを整備した.今後,MHC class I亜領域のうちTAP2の下流にDNA多型マーカーを設定する必要がある. (2)ハプロタイプの解析:ハプロタイプブロックの検出:8種類の主要ハプロタイプを検出すると共に,DCB1~TAPBP~DBB1,DMB1~DMB2,TAP1~TAP2およびCD1.1~CD1.2はハプロタイプブロックを形成していることを確認したが,一方,他の遺伝子間領域の組換えを示唆するハプロタイプが検出された.特に,BTN1とBTN2との間(2.4-kb),ならびにCD1.1とCD1.2との間(1.2 kb)の狭い遺伝子間領域に組換え領域が存在するこが示唆された. (3)各ハプロタイプの遺伝子構造の比較:主要8ハプロタイプにおいてDBB1~Tapasin~DCB1,DMB1~DMB2,TAP1~TAP2およびCD1.1~CD1.2の遺伝子構造は共通していることを確認し,一方,MHC class IIB遺伝子座の数に差異があることを示唆した.
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今後の研究の推進方策 |
1.DNA多型マーカーの特徴付け (1)主要ハプロタイプにおけるMHC class IIBの機能的遺伝子座の同定と各遺伝子座の抗原結合領域の多様性とmRNA転写量との関係の解析. 2.各ハプロタイプの遺伝子構造の比較 (1)MHC class IIBの機能的遺伝子座数のハプロタイプ間差異の精査.(2)各ハプロタイプの多型カタログの整備.とくにMHC class IIB亜領域とTRIM亜領域およびMHC classI亜領域との関係解析. 3.組換え領域の同定 (1)ハプロタイプ解析に基づく組換え領域の推定.(2)推定組換え領域のシークエンシングによる組換えホットスポット配列の同定. 4.ハプロタイプと免疫応答能との相関解析 各ハプロタイプの抗体産生能(自然抗体濃度),コクシジウム原虫感受性,腸内細菌叢,ならびに繁殖成績(受精率,孵化率)との関係の推定.組換え個体を用いた免疫学的特性に差異をもたらす責任遺伝子の追求.
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次年度の研究費の使用計画 |
塩基配列の解析試薬が,予想より低額で購入できたため. 実験計画は概ね順調に進行しており,おもに塩基配列の解析に充当し,MHC class IIBの抗原結合領域の多様性とmRNA転写量との関係の解析,機能的MHC class IIB遺伝子座数の推定,ならびに組換え領域の検索を実施する.
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