研究課題/領域番号 |
24580433
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
杉谷 博士 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20050114)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 耳下腺腺房細胞 / RhoA / cAMP / 開口分泌 |
研究概要 |
唾液腺腺房細胞においては、自律神経の二重支配のもとに分泌が行われる。β-アドレナリン受容体刺激においては、唾液タンパク質が開口分泌される。一方、低分子量GTP結合タンパク質の1つであるRhoは細胞骨格系の調節を介して、様々な機能に関与する。本研究は、唾液腺腺房細胞におけるRhoの役割を明らかにすることを目的とし、以下のことを検討した。ラット耳下腺腺房細胞を調整し、そのlysateにおけるRhoの発現を抗RhoA抗体を用いて検討したところ、抗体に反応する約25kDa付近にバンドが認められた。[32P]NAD+を基質にしてボツリヌス菌体外酵素C3によるADPリボシル化を検討したところ、抗RhoA抗体と反応したバンドと一致したタンパク質のADPリボシル化が認められた。以上のことから、ラット耳下腺腺房細胞におけるRhoAの発現を確認した。ストレプトリシンOによる可透過性細胞を作成し、cAMPによるアミラーゼ分泌に対するC3菌体外酵素の効果を検討したところ、C3により分泌が抑制された。ラット耳下腺腺房細胞においてはβ-受容体刺激により細胞内cAMP濃度が上昇しアミラーゼの開口分泌を引き起こすことから、RhoAがcAMP依存性の開口分泌に関わることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、低分子量GTP結合タンパク質Rhoの耳下腺腺房細胞での開口分泌への関与を明らかにするものである。ボツリヌス菌体外酵素C3 はADPリボシルトランスフェラーゼ活性を有し、Rhoを基質とすることが知られている。今回、この反応と広く用いられているイムノブロット法を利用し、ラット耳下腺腺房細胞におけるRhoAの発現が確認できた。また、ADPリボシル化されたRhoAは低分子量GTP結合タンパク質として機能を失う。このことを利用し、cAMP依存性開口分泌への効果を検討し、ラット耳下腺腺房細胞におけるcAMP依存性の開口分泌にRhoAが関わることが確認できたことは、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
低分子量GTP結合タンパク質は不活性型として存在し、外部情報により活性型に変換され機能に関わることが知られている。このことから、ラット耳下腺腺房細胞における分泌刺激(β-アゴニスト)時のRhoAの活性化をRhotekinを用いたpull-down assayを用いて検討を行う。また、腺房細胞においては、上昇したcAMPはcAMP依存性リン酸化酵素を活性化して開口分泌に関わることから、RhoAの活性化とcAMP依存性リン酸化の関連を阻害剤を用いて検討する。さらに、RhoAの下流にはRhoキナーゼの存在が考えられることから、Rhoキナーゼの発現と局在をイムノブロット法および免疫組織化学を用いて検討をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、細胞調整用の動物(ラット)、抗体、試薬および実験に関わる器具類といった消耗品の購入に使用する。また、一部は、研究成果発表と情報収集のための旅費として使用する予定である。
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