研究課題
1. 前年度から進めていた2種の特異抗体を用いて解析した、PRX1とPRX2の両者の局在についてまとめた論文が受理された。2.PRX1とPRX2が、胎齢(E)15.5日頃に、下垂体内でSOX2とPROP1に遅れて発現すること。また、神経外胚葉系の幹・前駆細胞マーカーであるSOX2の抗体を用いて調べてみると、下垂体周辺にはPRX1とPRX2が別々に存在する間葉系の細胞が存在する事が判明し、論文投稿を行い、2度のやり取りを通じて最近論文が受理された。3.下垂体周辺に存在する間葉系細胞が下垂体に進入することを観察していたが、さらに実験を進め、PRX2陽性細胞は侵入後に速やかにその存在を消失させ、PRX1陽性細胞(SOX2陰性)はその数を増し、他の内皮細胞のマーカーを発現する血管形成に係わる細胞に分化する結果を得た、投稿する直前である。4.PRX1とPRX2が異なる発現調節を受けることは明らかであり、その解析のためには両者を発現する株化細胞は有用なツールである。下垂体由来の株化細胞を含めて複数の細胞におけるPRX1とPRX2の発現を調べ、下垂体腫瘍由来のTtT/GF株、非下垂体由来のNIH3T3における発現を確認することが出来た。この過程で、他の下垂体腫瘍由来の株化細胞とTtT/GF株が、幹細胞性を有しながらも、特徴ある遺伝子発現プロフィールを示す事を見出した。この結果を論文投稿するところである。5.その機序を探るために、上記で同定したPRX1とPRX2を発現する細胞を用いて、両者のプロモーターに作用する転写因子を探索した。その結果、複数の因子が両者のプロモーターに共通して作用することを明らかにした。その一方、KLF6がPRX2のみを制御することが分かった。さらに、KLF6はPRX2を発現する生後の幹細胞に存在することを示した。
2: おおむね順調に進展している
1.PRX1・PRX2が下垂体由来と間葉系由来の細胞の2種があることが明らかになった。2.株化細胞を使って、PRX1とPRX2の発現調節機構の違いの一端を明らかにできた。3.PRX1とPRX2の両者の発現を調節する因子と、PRX2のみのを調節する因子KLF6を同定した。4.KLF6とPRX2が下垂体の幹細胞に共存する事を明らかにした。以上を通じて、研究は順調に展開している。
1.下垂体幹細胞の樹立を継続的に進める。2.PRX1・PRX2の標的遺伝子を特定する。3. PROP1の標的遺伝子を特定する。4.下垂体の血管形成機序の解析を行う。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (22件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
Cell and Tissue Research
巻: 354 ページ: 823-836
Journal of Reproduction and Development
巻: 59 ページ: 457-462
巻: 353 ページ: 27-40
巻: 354 ページ: 563-572
巻: 354 ページ: 837-847
Journal of Neuroendocrinology
巻: 25 ページ: 779-791