研究課題/領域番号 |
24580437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
村上 賢 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80271360)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 破骨細胞分化 / 転写因子Mitf |
研究概要 |
破骨細胞は骨吸収の責任細胞であり、この破骨細胞の数と機能の制御の破綻が骨代謝異常に繋がる。本研究では、破骨細胞を始めとした幾つかの組織(細胞)でしか発現していない転写因子であるMitfが破骨細胞の分化・機能で果たす役割とその機構を明らかにすることを第一の目的としている。 研究初年度である平成24年度は、当初の課題であった「破骨細胞分化におけるMitfの機能」を、RAW264.7細胞を用いて、RANKL刺激による破骨細胞分化過程におけるMitf-Eアイソフォームの一過性の誘導を確認し、さらに、Mitf-E特異的なsiRNA導入によるMitf-E遺伝子発現抑制を通して、細胞分化が抑制されることを形態学的及び分子マーカ―(Trap、Ctsk、Oscarなど)の定量的遺伝子発現量から確認した。Mitf-E遺伝子を安定的に導入したRAW264.7細胞も作製した。 次に、マウス骨髄初代培養細胞及びRAW264.7細胞を用いて、RANKLとともにTGF-βを添加し、破骨細胞分化ならびにMitf-Eの発現誘導を調べた。その結果。TGF-βには、Mitf-Eの遺伝子発現増を介してRANKL誘導性の破骨細胞形成を高める活性があることを示した。さらに、TGF-β添加で形成したRANKL誘導性破骨細胞は、細胞接着や細胞融合に関与する各種遺伝子の発現が促進していることや骨吸収能が増強していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定していた破骨細胞分化におけるMitfの機能や発現制御に関する分子生物学的解析は、ほぼ終了し、さらに分化過程の分子機序解明に関してより深化させたデータも得られた。Mitfの条件的遺伝子発現を可能にするTet-on vectorを利用した安定株の作製までは至らなかったが、破骨細胞分化におけるMitf-EやTGF-βの役割に関するデータは十分に得られており、現在国際雑誌に投稿する準備を進めている。また、平成26年度に予定しているイヌ骨髄細胞からの破骨細胞分化法の確立に向けて、予備的検討を始めた。マウスでの手法をアレンジすることにより、ビーグル犬から採集した骨髄細胞を、形態学的に破骨細胞様細胞に分化させられることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度のデータを受けて、遺伝子レベル及びタンパク質レベルの両方から破骨細胞分化におけるMitfの遺伝子発現制御機構や細胞内情報伝達因子との相互作用を明らかにする(当初の予定通り進める)。また、イヌの骨髄細胞から破骨細胞への誘導の精度を高め、分化法への確立を目指す。また、分化過程での遺伝子発現変化、分子機序を解析するための準備を整える(イヌ用プライマーの設定や抗体の入手など)。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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