研究課題
本年度は、オートファジーとの関連が深いリソソームの機能に主眼を置いて、その局在の検出を行うこととともに、リソソーム内に貯蔵され、異化作用にかかわっているプロテアーゼであるカテプシンの遺伝子および蛋白質の発現を解析することを目的とした。【材料及び方法】食肉処理場より採取したウシ卵巣より卵子を採取し、体外成熟体外受精および体外培養によって得られた胚盤胞を主な材料として、1)リソソーム活性を可視的に検出する蛍光プローブを用いることで、初期胚におけるリソソームの機能を評価した。2)リソソームから漏出する可能性のあるカテプシンB、K,S, Zに焦点を当てその遺伝発現を定量PCRで解析した。またカテプシンBの特異抗体を用いて胚盤胞における局在を検出した。【結果】1)胚盤胞における活性リソソームを検出したところ、胚盤胞を構成する内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)にともに高い活性を示すスポットが散在することが観察された。2)カテプシンB、K,S, Zに焦点を当てその遺伝発現を定量PCRで解析したところ、BとZの高い発現が胚盤胞で見られた。また、胚盤胞を構成する内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)に分けてBとZの発現を見たところ、TEでの高い発現がみられ、蛋白質の局在についてもICMで高い局在がみられた。カテプシンBの蛋白質発現について免疫組織学的に検出したところ、ICMでの高い発現が観察された。
2: おおむね順調に進展している
24年度の報告で当初計画であったストレスによるウシ卵子、胚でのカテプシンB遺伝子・蛋白質発現ならびに酵素活性の増加とアポトーシス誘導を明らかにしたとともに、カテプシンB活性を阻害剤で抑えることで、ストレス下での胚の発生率向上が可能であることを年次計画に先行して明らかにした(Reproduction 2013)。本年度は正常な胚発生の過程でみられるカテプシンの役割とカテプシンが不活性化され収納されている微小器官であるリソソームの動態についてを当初計画に従って解析を行った。
本年度は、不要蛋白質、細胞器官の異化作用にカテプシン、リソソーム機能との深い関係が明らかにされているオートファジーに関連する遺伝子発現および蛋白質発現をウシ胚発生での動態を明らかにすることに主眼を置く。また、オートファジーの阻害としては当初計画していたRNA干渉法よりも特異的な蛋白質機能阻害剤に重点を置いての解析を行い、正常胚およびストレス暴露胚の発生に及ぼすそれらの役割を明らかにすることに主眼を置く。
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