研究課題/領域番号 |
24580440
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小川 健司 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 専任研究員 (50251418)
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キーワード | Acitivin A / TGF-β / マクロファージ / 自然免疫 / TLR |
研究概要 |
我々はマクロファージが、その活性化にともなってActivin Aを産生する事を明らかにして来た。本研究では、マクロファージが産生するActivin Aの自然免疫および獲得免疫に果たす役割を明らかにする目的で、マクロファージにおけるActivin Aのに着目して検討した。マウスから単離した初代培養マクロファージを抗Activin A中和抗体の存在下または非存在下においてTLRリガンドで刺激し、24時間後のRNAをMicroarray法で解析した結果、Activin Aの中和抗体添加によって発現量が減少する数種類の遺伝子が得られた。更に、これらの遺伝子発現の経時的変化をリアルタイムRT-PCRなどを用いて詳細に検討した。IFN-α、IFN-βおよびTNF-αに代表されるEarly response genesのマクロファージにおける発現は、TLR刺激後30分から1時間でピークを迎え、以後急激に減少する。Activin A、iNOSおよびT-betなどのIntermediate response genesは、TLR刺激後8時間でピークを迎え、以後徐々に減少するが24時間後まで高い値が持続する傾向にある。Microarrayによって得られたActivin Aの中和によって発現量が減少する遺伝子の内、Arginase 1およびTGFB1の二種類の発現は、TLR刺激後6時間までは見られず、8時間から24時間にかけて緩やかに上昇するLate response genesである事が明らかとなった。これらの遺伝子は、マクロファージをActivin Aで刺激した際に、刺激後8時間をピークとして発現上昇が認められた。更に、これらの遺伝子のTLR刺激後24時間での発現上昇は、Activin A中和抗体によって大きく抑制されるが、類縁の因子であるTGF-β1の中和抗体やisotype controlでは変化しなかった。これらの事からTLR刺激を受けたマクロファージはActivin Aを産生し、分泌されたActivin Aはオートクラインループを介してマクロファージのArginase 1およびTGFB1発現を誘導している事が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マクロファージにおけるActivin Aのオートクラインループの解明が達成出来たため、来年度以降に大きな足掛かりが出来た。このオートクラインループが、マクロファージの分化や自然免疫および獲得免疫応答に果たす役割については、今後も検討を続けたい。
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今後の研究の推進方策 |
Activin/TGF-β作用を可視化する高速評価系の開発(アッセイ系の確立) 本研究では、基礎研究で得られた成果を基に、生細胞を用いて化合物の生物機能を解析する高速評価系(ハイスループットスクリーニング)を開発する。この評価系は、本研究の応用段階で重要な自然免疫応答やオルタネーティブ活性化を誘導あるいは阻害する機能性化合物の探索に重要であると同時に、将来の有用な創薬基盤としての価値が期待できるものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
端数が生じて仕舞ったため 物品費として使用する予定である
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