研究課題/領域番号 |
24580445
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐伯 圭一 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10311630)
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研究分担者 |
河野 潤一 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40127361)
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キーワード | プリオン蛋白遺伝子 / エピジェネティクス / 遺伝子メチル化 |
研究概要 |
【背景と目的】プリオン蛋白(PrP)遺伝子は、様々な組織で発現し、発現レベルは組織ごとに異なっていることが知られる。これまで各組織での発現レベルを決定する要因についての報告はない。一般にプロモーターとその周辺のCpGメチル化は、転写の抑制につながることが知られている。本研究では、マウスを用い、PrP遺伝子プロモーターと考えられる領域について各組織ごとに詳細なメチル化パターンを明らかにすることを目的とした。【材料と方法】C57BLマウスおよびBalb/cマウス各組織からDNAを抽出し、Bisulfite Sequencing PCR法によってメチル化頻度を調べた。解析領域はPrP遺伝子のエクソン1を含む上流域749 bpおよび下流域280 bp (イントロン1の一部)である。CpG配列に上流から1-46番の番号を付した。【結果】9-43番目のCpG配列は、CpGアイランドに属した。マウスで推定されるプロモーター領域には、13-23番目のCpG配列が含まれた。1および2番目のCpG配列では、すべての検体においてメチル化が認められた。3および4番目では、精巣のみが非メチル化状態であった。5-7番目では、一部の組織に低い頻度のメチル化が認められたが、ほとんどの組織は非メチル化状態であった。8-46番目では、すべての組織で非メチル化状態であった。【考察】PrP遺伝子プロモーター領域だけでなくCpGアイランドを含む8-46番目のCpG配列では、すべての検体で非メチル化状態であった。このことは、PrP遺伝子発現がON状態を示唆し、ほとんどすべての組織で発現しているとするこれまでの見解を強く支持する結果となった。一方、1-7番目のメチル化状態は組織によって様々なパターンを示したことから、これらのCpG配列のメチル化頻度が、PrP遺伝子発現レベルの制御に関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までおおむね順調に研究は進行中であり、成果について学会発表を行ったが、本研究内について学術論文としての準備がやや遅れている。今年度中に学術論文としての発表をこなし、さらに得られるであろう成果についてまとめていく。
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今後の研究の推進方策 |
マウス各組織における解析領域のメチル化頻度はほぼ予定どおり終了にむかっている。今後はこれまでに得られた結果を踏まえ、株化培養細胞におけるPrP遺伝子の発現とCpGメチル化について詳細に解析を行っていく予定である。また、培養細胞においては、神経細胞への分化とPrP遺伝子メチル化の関係についても解析を行っていく。
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