カンピロバクター食中毒の主要な感染源の一つに鶏肉が挙げられるが、食鳥肉への付着機序は明らかにされていない。そこで本研究では、細菌側および食鳥側の付着因子を明らかにすることを目的として実験を実施した。 細菌側の付着因子を検索するためカンピロバクターの野生株から遺伝子改変技術を用いて鞭毛、莢膜、リン脂質及び外膜蛋白質欠損株を作出し、鶏皮膚への付着能を比較したところ、莢膜が付着因子として重要な役割を担っていることを明らかにした。次に、食鳥側の付着因子を検索するため、皮膚のアルカリ処理が菌の付着に及ぼす影響を調べた結果、皮膚のアルカリ抽出液中に菌体蛋白と結合する100~150kDaの蛋白を検出した。
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