研究課題/領域番号 |
24580456
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 真大 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (40322846)
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研究分担者 |
大田 寛 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 助教 (50431333)
滝口 満喜 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (70261336)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Babesia gibsoni / heat shock protein 90 / 遺伝子クローニング / 系統樹解析 / 遺伝子発現量解析 |
研究概要 |
イヌに感染する赤血球内寄生原虫であるBabesia gibsoniのheat shock protein 90(Hsp90)について、平成24年度は以下の研究を実施した。 1.B. gibsoniのHsp90(BgHsp90)の遺伝子のクローニングを行い、解析を行ったところ、この遺伝子は二つのイントロンを持っていることが明らかになった。また、近縁の原虫との塩基配列の相同性が高く、原虫の間で機能が類似していることが予想された。さらに、系統樹解析を行ったところ、BgHsp90はHsp90ファミリーのうち哺乳動物のHsp90アルファのオルソログであることが明らかになった。以上の成果は、平成25年3月29日から31日に開催された日本寄生虫学会において発表を行った。 2.解析を行ったBgHsp90の遺伝子の塩基配列を基に、リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現量を測定する系を作成した。この系の確立のため、購入したリアルタイムPCRシステム(LightCyclerNano)を使用した。この系を利用し、通常38℃の環境で培養しているB. gibsoniを低温と高温環境に曝した状態でのBgHsp90遺伝子発現量を観察したところ、4℃および32℃では遺伝子発現量に変化は認められなかったが、42℃に曝したところ、BgHsp90遺伝子の発現量の増加を認めた。 3.BgHsp90の発現量の変化をタンパク質レベルで解析するためのツールとして、抗BgHsp90抗体が必要であるため、これを作成するために組み替えBgHsp90タンパク質を作成することとし、平成24年度は、1.で解析したBgHsp90遺伝子を基に発現実験用のプラスミドを作成した。平成25年度には、これを用いて組み替えBgHsp90タンパク質を作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、リアルタイムPCRを利用して様々なストレス環境下におけるBgHsp90遺伝子発現量の変化を観察する予定であったが、ストレス環境としては温度変化に対する発現量の変化を見るにとどまったため、こちらはまだ研究を発展させる予定である。 しかしながら、組み替えBgHsp90タンパク質の作製については、平成25年度から着手する予定であったが予定を前倒しして平成24年度から着手し、すでに組み替えタンパク質作製、ならにび抗BgHsp90抗体作製のめどは立っている。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、リアルタイムPCRを用いてストレス環境下におけるBgHsp90遺伝子発現量の変化を網羅的に解析し、BgHsp90遺伝子発現量を変化させる環境の特定を行う。 その上で、抗BgHsp90抗体を作製し、これを用いて免疫学的手法によってBgHsp90タンパク質発現量の変化を観察し、真に発現量が変化していることを確認の上、BgHsp90の機能について考察を行う。 上記のストレス環境を作り出すために、専用のインキュベーターを利用するため、平成25年度に購入予定のCO2/O2マルチガスインキュベーターを利用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、平成24年度に上記マルチガスインキュベーターを購入予定であったが、申請者らの所属する研究施設の改修のため、購入を見送り、平成25年度に購入の上研究を継続する予定である。このため、マルチガスインキュベーター購入費として620千円を繰り越した。また、109,717円は2013年3月に使用し、4月に支払われる予定である。
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