研究課題/領域番号 |
24580457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
大澤 健司 宮崎大学, 農学部, 教授 (90302059)
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研究分担者 |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学部, 准教授 (00305905)
大塚 浩通 北里大学, 獣医学部, 講師 (40327458)
北原 豪 宮崎大学, 農学部, 助教 (90523415)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 牛 / 繁殖 / 子宮内膜炎 / 感染症 / マイコプラズマ / 免疫機能 |
研究概要 |
分娩後の乳牛の子宮内におけるマイコプラズマ感染率および子宮内膜炎との関係を明らかにする目的で試験を実施した。ホルスタイン種経産牛104頭について、分娩後5週(W5)および7週(W7)に腟および子宮内を検査した。腟粘液性状についてメトリチェックを用いて0(透明な粘液)から4(悪臭を伴う膿汁)の5段階にスコア化するとともに、サイトブラシを用いて子宮内膜を採取した。サイトブラシから滅菌スワブに検体を取り、マイコプラズマ用液体培地に浸漬、37℃にて72時間培養した。マイコプラズマの検出にはPCR法を用い、Mycoplasma属7種について検索した。また、子宮内膜スメアの鏡検で観察される多形核好中球割合(PMN%)をカウント、W5では6%以上、W7では4%以上を細胞診による子宮内膜炎と診断した。マイコプラズマ感染牛および非感染牛における最終分娩時の難産発生率をカイ二乗検定にて比較した。 供試牛104頭中7頭(6.7%)からM. bovigenitaliumが分離された。このうち3頭はW5において、別の3頭はW7において検出された。残りの1頭はW5およびW7において検出され、この1頭は腟粘液スコアが4であり、W7におけるPMN%が15であった。興味深いことに、マイコプラズマ感染牛における最終分娩時の難産発生率(71.4%)は非感染牛における発生率(3.7%)と比較して有意(P = 0.002)に高かった。さらに、有意差は認められなかったものの、マイコプラズマ感染牛における子宮内膜炎罹患率(57.1%)は非感染牛における罹患率(34.4%)と比較して高かった。 以上の結果より、分娩後の乳牛の一部においてM. bovigenitaliumが存在することが明らかになり、またM. bovigenitalium感染が最終分娩における難産、および分娩後の子宮内膜炎に関連していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホルスタイン種経産牛の分娩後における子宮内膜スメア中の多形核白血球の浸潤度およびマイコプラズマ感染との関係を明らかにするという研究目的が初年度において達成された。
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今後の研究の推進方策 |
牛の分娩後における子宮内膜の炎症度と細菌感染との関係を明らかにしつつ、末梢血中におけるTNF-alpha, IFN-gamma, IL-4, IL-6, IL-8, IL-17等のサイトカインのmRNAの発現状況についても解析を行い、免疫応答機構と繁殖性との関係についても明らかにしていく予定である。 さらに、ホルスタイン種と黒毛和種における分娩後の子宮内感染状況および子宮内膜炎罹患状況を比較することで牛の子宮疾患の病因の一端を明らかにし、診療プロトコール確立に際してのエビデンスを蓄積する。
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次年度の研究費の使用計画 |
翌年度以降に請求する研究費と合わせて試薬の購入にあてる。
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