研究課題/領域番号 |
24580457
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
大澤 健司 宮崎大学, 農学部, 教授 (90302059)
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研究分担者 |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学部, 准教授 (00305905)
大塚 浩通 北里大学, 獣医学部, 講師 (40327458)
北原 豪 宮崎大学, 農学部, 助教 (90523415)
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キーワード | 牛 / 繁殖 / 子宮内膜炎 / 感染症 / マイコプラズマ / 免疫機能 |
研究概要 |
牛の生殖器由来マイコプラズマ感染状況および子宮内膜炎との関係を明らかにすること、および肉牛および乳牛における分娩後のPMN%の推移ならびに細菌分離率を観察するとともに牛種間の比較検討を行う目的で試験を実施した。 宮崎県内6カ所の農場にて繋養のホルスタイン種経産牛74頭および黒毛和種経産牛95頭を供試した。黒毛和種は分娩後2週までに離乳し同一個体より2週(2W)から6週(6W)の各週で、ホルスタイン種は3Wから9Wの隔週でサイトブラシを用いて子宮内膜スメアを採取した。スメアサンプルからPMN%を算出すると共にマイコプラズマおよび一般細菌の分離を試みた。また腟内粘液性状(0:無色・透明~4:悪臭・膿汁)を記録した。 その結果、PMN%は黒毛和種では3Wから4Wにかけて有意な減少が見られた後に低値を示し、ホルスタイン種では7W以降で有意な減少が見られた。腟内粘液性状も黒毛和種では3W以降、ホルスタイン種では7W以降にスコアの有意な減少を示した。PMN%、腟内粘液性状ともに分娩後の各時期において黒毛和種はホルスタイン種と比較して有意に低かった。マイコプラズマに関してはホルスタイン種乳牛1頭の分娩後3週にMycoplasma bovisが分離された。細菌分離率は黒毛和種が3Wから4~6Wにかけて減少したのに対し、ホルスタイン種では試験を通して比較的高値で推移した。期間を通した平均細菌分離率は黒毛和種よりもホルスタイン種において高く、Staphylococcus spp.やE. coli、Acinetobacter spp.、Trueperella pyogenesなどが分離された。また、黒毛和種では細菌感染陽性検体は陰性検体と比較してPMN%、腟粘液性状ともに有意に高かった。以上より、黒毛和種はホルスタイン種と比較して分娩後のより早い段階において子宮環境が清浄化することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの研究において分離された牛生殖器由来のマイコプラズマはMycoplasma bovigenitaliumのみであったが、当該年度においてはMycoplasma bovisが1検体より初めて分離された。Mycoplasma bovisは牛のマイコプラズマ性乳房炎の主要な原因菌であるが、生殖器感染との関連については新知見であり、今後の展開が期待できる点において現在の進捗状況はおおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、前妊娠時における妊角と非妊角との間における子宮感染ならびに子宮内膜炎の状況について研究を進めると同時に、免疫能およびその後の繁殖成績との関係を解析し、さらに治療プロトコールの確立に向けての基礎および臨床データを収集する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬類が予定よりも安価に購入できたため。 試薬類など物品調達や旅費などに使用する計画である。
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