研究課題/領域番号 |
24580462
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
寺岡 宏樹 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (50222146)
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研究分担者 |
打出 毅 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (20327456)
井上 博紀 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (90305904)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 薬物代謝酵素 / シトクロームP450 / ネコ / コンパニオンアニマル / 薬物相互作用 / 中毒 |
研究概要 |
本研究の目的は、主要なコンパニオンアニマルでありながら代謝酵素に関する知見が大幅に不足しているネコについて、特にシトクロームP450分子種の性状を代謝活性を含めて明らかにすることである。 A 薬物代謝に関与する全P450分子種cDNA完全長の塩基配列と組織発現:ネコの薬物代謝に重要と思われるCYP2分子種のうち、新たにCYP2AとCYP2Bの全長配列を明らかにできた。CYP2Bは肝臓からは検出されず、肺と小腸で比較的多く発現していた。CYP2Cの類似配列も得られたが、偽遺伝子であった。肝臓ではCYP2E>2A>3A>1A>2Dの順に発現していた。また、小腸で発現しているCYP分子種はCYP3Aが圧倒的であり、ついでCYP2Bであった。これらの遺伝子はイヌと最も高い相同性を示し、ヒトがこれに続いた。B ネコP450分子種の大腸菌発現系の構築とその代謝活性:CYP3A131とCYP1A2、CYP2E2のN末端を修飾したネコP450分子種を大腸菌に発現させることができた。ヒトのCYP分子種やネコの肝臓ミクロソームで代謝が報告されている蛍光基質のうち、CYP3A131は7-benzyloxy-4-trifluoromethylcoumarin(BFC)、1A2は7-ethoxy、7-benzyloxy、2E2は7-methoxyのそれぞれresorufin誘導体に対する代謝活性を示した。C 医薬品のP450分子種代謝活性に対する阻害作用:多くの動物種で主要な薬物代謝酵素とされるCYP3A131の代謝活性に対する阻害薬の作用を観察した。BFCを基質としたところ、よく知られているCYP3A阻害薬であるミコナゾールやエリスロマイシンの他、デキサメサゾンやメデトミジンも強く阻害した。これらは併用が多いので、薬物相互作用の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多くの蛋白質と異なり、シトクロームP450の大腸菌発現法は完全には確立されておらず、経験的に作成されている。このため、発現系を確立できなかった分子種が一部残っている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、達成できなかった課題に関して、大腸菌内在性のリード配列を用いた発現法を試すことで克服したい。 予備的検討から、ネコのシトクロームP450には非常に多くの多型が存在している可能性がある。動物病院で得られた摘出組織を用いて、多型の種類を明らかにする。これらの多型の代謝活性を調べることで、特に問題となる多型を明らかにし、ARMS法を中心とした簡易検出法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでと同様に一般分子生物学に必要な試薬や器具に多くの研究費を使用する。代謝測定のための一般試薬も必要である。またこられの成果を積極的に公表し、批判を参考にする。
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