研究課題/領域番号 |
24580462
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
寺岡 宏樹 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (50222146)
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研究分担者 |
打出 毅 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (20327456)
井上 博紀 酪農学園大学, 農学生命科学部, 准教授 (90305904)
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キーワード | 薬物代謝酵素 / シトクロームP450 / ネコ / コンパニオンアニマル / 薬物相互作用 / 中毒 |
研究概要 |
昨年、発現できなかったネコCYP分子種の構築とその活性を測定できた。また、CYP2D6、CYP3A131について分子多型の探索を行った。 A ネコP450分子種の大腸菌発現系の構築とその代謝活性(前年度からの継続): これまで行ってきた脂溶性の高い5’末端を削ってウシのCYP17と取り替えるIwataら(1999)の方法に加えて、大腸菌膜タンパクであるompAにP450 cDNA全長を連結させることにより、新たに、CYP2A、CYP2B分子種の膜タンパクを作成できた。これらは市販の蛍光基(BFC、EFC)を代謝する。また、CYP3Aについてもヒトおよびイヌ由来分子種の発現にも成功した。これらはネコCYP3Aと同様にBFC代謝活性を示した。 B ネコP450分子種の遺伝的多型と代謝に及ぼす影響: CYP3A131:ネコ15匹のcDNA全長を調べた結果、2ヶ所の同義置換と5ヶ所の非同義置換が同定された。このうち、酵素活性に影響をおよぼす可能性の高い基質認識部位における2種の非同義置換の一方、および両者を持つCYP3A131を大腸菌に発現させた結果、3種の変異型はBFC活性のKm値が対照よりも一桁以上高くなり、Vmaxは半減した。 CYP2D6:ネコ6匹のcDNA全長を調べた結果、同義置換および非同義置換ともそれぞれ4カ所が認められた。さらに、The amplification refractory mutation system (ARMS)プライマーを用いてSYBR GreenによるリアルタイムPCRを行う簡易検出法を確立して50匹のネコゲノムを調べた結果、基質認識部位に認められた非同義変異を持つ個体は2例であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代謝活性担当である井上氏がメーカーに移動されたため、各CYP分子種の代謝測定が遅れている。しかし、寺岡がHPLCシステムを立ち上げ、一部の基質について検討を始めている。また、免疫ブロッティングによる肝臓などにおけるタンパクの存在比の検討が遅れている。これはCYP分子種の発現系がそろっていなかったために後回しにしたためであり、最終年度に検討する。
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今後の研究の推進方策 |
前述(11)の遅れを取り戻すほか、CYP2Aについての多型とその代謝活性を検討する。また、血液試料を材料とした簡易検出法(ARMS法)を確立することで、これらのCYP分子種の存在頻度の概要を明らかにするほか、臨床応用の可能性を探索する。発現できたCYP分子種がほぼ出そろったので、阻害薬による代謝活性のスクリーニングを行い、薬物相互作用についての知見を得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
大腸菌に発現させるのが遅れたCYP分子種があったため、免疫ブロッティングを実施できなかった。そのため、予定していた一部の消耗品を購入しなかったため。 これまでと同様に一般分子生物学に必要な試薬や器具に多くの研究費を使用する。代謝測定のための一般試薬も必要である。またこられの成果を積極的に公表し、批判を参考にする。
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