研究課題
A ネコP450分子種の大腸菌発現系の構築とその代謝活性(前年度からの継続):大腸菌発現系で作成したネコCYP1A2、2A6、2B6、2E2、3A131は抗ヒトCYP分子種抗体に高い選択性を示した。これらの抗体を用いて各CYP分子種の免疫陽性が肝臓で認められたが、CYP2B6だけは検出できなかった。肝臓における発現量が欠失ないしは非常に低いと考えられるCYP2B6を除外し、各基質の固有クリアランスから、CYP1A2および3A131、2A6、2E2の蛍光基質を選定した。これらの基質を用いて検討したところ、アゾール系抗真菌薬とメデトミジンがCYP3A131に対して1uM前後のIC50値を示した。 メデトミジンはCYP2A6やCYP1A2に対しても低濃度で抑制した。CYP3A131は他の薬に対しても比較的低濃度で抑制される傾向があった。CYP2E2を低濃度で抑制する薬は見つからなかった。CYP3A131は小腸における主要なCYPであることから、初回通過時に多くの薬と相互作用を示す可能性がある。B ネコP450分子種の遺伝的多型と代謝に及ぼす影響(前年度からの継続):一般動物病院(札幌市9匹、名護市9匹)において、ネコから摘出した雌雄生殖腺由来のcDNAを用いて検討した。途中段階であるが、2回以上確認できただけでこれまでにCYP1A2で2ヶ所の同義置換と9ヶ所の非同義置換が同定された。このうちの1つは停止コドンである。CYP3A131では1ヶ所の同義置換と8ヶ所の非同義置換(1つの停止コドン)が同定された。これらには基質認識部位における2種の非同義置換が含まれる。またいずれも野生型の出現頻度(ハプロタイプ)が低く、CYP1A2で6割程度、CYP3A131で5割程度であった。さらに、スプライスバリアントも多数検出された。これらのスプライスバリアントが肝臓や他の臓器にも存在するかは不明である。機能解析は今後の課題であるが、ネコのこれらのCYP分子種は遺伝子構造で大きな多様性があると考えられる。
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