研究課題
ぶどう膜炎治療には、ステロイドと非ステロイド系抗炎症薬のみが利用されている。しかし、眼感染症や角膜疾患をもつ症例では、その使用は禁忌であり治療に苦慮する。「これらの問題を解決する眼内炎点眼治療薬はないか?」というう観点から、本研究は、ナノテクノロジーを応用した薬剤送達システムによる眼内炎治療につながるナノ化トラニラスト点眼液について、炎症抑制効果とその機序解の基礎研究を目的としている。本年度は、エンドトキシン誘発ぶどう膜炎(EIU)モデルを用いたin vivo試験ならびに培養細胞を用いたin vitro試験による抗炎症効果の機序について実験を行った。1.EIUモデルを用いた抗炎症効果の機序についての検討:ナノ化トラニラスト点眼液の抗炎症機序は、免疫組織学的検索より、LPS投与後3時間の毛様体上皮において、HO-1の発現を誘導すること、同様にNF-κBの発現を抑制することで抗炎症効果を示すことを明らかにした。2.RAW264.7細胞におけるin vitro試験による検討:ウエスタンブロット法により、RAW264.7細胞にLPSとナノ化トラニラストを添加後24時間において、COX-2とiNOSの発現を有意に抑制した。
3: やや遅れている
EIUラットモデルにおけるナノトラニラスト点眼液の抗炎症機序が、虹彩毛様体上皮細胞におけるNF-kBの活性化を抑制することを明らかにした。さらにこのナノ点眼液が、へムオキシゲナーゼ-1 (HO-1)の発現を誘導することを明らかにした。しかし、RAW264.7細胞をもちいたIn vitro試験において、ナノトラニラストがCOX-2とiNOS発現を抑制することをウエスタンブロティング法により明らかにしたが、詳細な抗炎症機序解明が思うように進んでいないため。また、犬の毛様体上皮細胞確立の着手も遅れているため。
RAW264.7細胞を用いたin vitro試験における詳細な抗炎症機序、特に転写調節因子の発現・調節の解明を蛋白ならびにmRNAレベルで解明する。
犬の毛様体培養細胞の確立が実験計画通りに進行しなかったため翌年度分の助成金と合わせて培養細胞関連費として研究を進めていく
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