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2012 年度 実施状況報告書

コルチゾール分泌抑制薬が犬下垂体腺腫細胞増殖能に及ぼす影響の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24580466
研究種目

基盤研究(C)

研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

原 康  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (00228628)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードコルチゾール分泌抑制薬
研究概要

健常犬に対するトリロスタン投与による脳脊髄液中のCRH濃度の変化に関する検討では、健常ビーグル成犬6頭にトリロスタン5mg/kg BID 4週間の投与を実施し、投与後2週目、4週目における脳脊髄液中のCRH濃度を測定した。測定は、脳脊髄液中のタンパク質をC18カラムにて精製、濃縮後、凍結乾燥を行い、その後ELISAキットにて測定を行った。トリロスタン投与前の脳脊髄液中のCRH濃度は、260±19.5pg/mlであった。投与後の脳脊髄液中のCRH濃度は投与前と比較して有意な増加(P<0.01)が認められ、投与後2週目および4週目のCRH濃度はそれぞれ337.8±20.7pg/ml、366.2±19.5pg/mlであった。
次に、CRHが犬の下垂体ACTH産生細胞の増殖能に及ぼす影響に関する検討では、前検討で使用したトリロスタン投与を実施したビーグル犬の下垂体前葉組織を培養して実験に供した。増殖中のACTH産生細胞を検出するため、EdUによる化学的標識およびACTHの蛍光免疫学的標識を実施し、CRH添加によるEdU陽性かつACTH陽性細胞数およびACTH陽性細胞数を計測した。また培養上清中のACTH濃度の測定も実施した。ACTH産生細胞のEdU陽性率は、対照群が1.28±0.23%、0.5nMCRH添加群が1.42±0.23%、5nMCRH添加群が2.52±0.25%であり、5nMCRHを添加した群では対照群と比較して有意に高値を示した(p<0.01)。また、培養上清中のACTH濃度は培養後4時間、24時間で対照群と比較し、有意に高値を示した。これらはCRHR1阻害薬であAntalarmin1μMの添加で阻害された。
以上より、コルチゾール分泌抑制薬の投与は、犬の視床下部のCRH分泌能を亢進させ、CRHはACTH産生細胞の増殖能およびACTH産生を促進することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究により、健常ビーグル成犬へのコルチゾール分泌抑制薬の投与が視床下部のCRH分泌を亢進させ、in vitroではCRHが犬のACTH産生細胞の増殖およびACTH分泌を活性化することが明らかとなった。
この結果より、コルチゾール分泌抑制薬の投与によりNelson症候群が発生する危険性があることが示唆されたため。

今後の研究の推進方策

本年度の研究により健常ビーグル犬へのコルチゾール分泌抑制薬の投与がCRH分泌を亢進し、CRHが犬の正常なACTH産生細胞の増殖能を活性化することが明らかとなった。
次年度は犬の下垂体ACTH産生腺腫細胞でも同様に、CRHが腫瘍細胞の増殖能に影響を及ぼすかを検討する目的で、本学付属動物医療センターに来院し、PDHと診断され、外科治療を受けた臨床例の摘出腫瘍組織から腫瘍細胞を分離しサンプルとして使用して検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

次年度は臨床症例のACTH産生腺腫細胞のサンプルを使用し、検討を行う。
①培養細胞増殖能の検討
培養液にCRHを種々の濃度にて添加し、CRHが犬の下垂体ACTH産生腺腫細胞の増殖能に及ぼす影響を検討する。増殖細胞を検出するため、培養終了以前にEdUを増殖期の細胞に取り込ませる。培養終了後、クイックケミストリーによりEdUを検出する。染色後、培養プレートを共焦点レーザー顕微鏡により可視化し、EdUおよびACTH陽性細胞数を測定することで増殖能の検討を実施する。
②ACTH産生能を培養液中のACTH濃度測定から検討
CRH添加後4時間および24時間の時点において培養液を回収し、臨床的に使用されている市販のACTH測定キットにて濃度を測定することでCRHがACTH産生能に及ぼす影響を確認する。

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公開日: 2014-07-24  

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