研究課題/領域番号 |
24580474
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
須賀 晴久 岐阜大学, 生命科学総合研究支援センター, 准教授 (20283319)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 菌類 / 遺伝子 / マイコトキシン / イネばか苗病菌 / Fusarium |
研究概要 |
フモニシンはウマの白質脳症、ブタの肺水腫の原因物質となっているカビ毒で、ヒトでは食道ガンに関係しているとされている。本研究はイネばか苗病菌の一部においてフモニシン産生能が喪失している原因を遺伝子レベルで解明することを目的としている。この研究は大きく、候補遺伝子の探索と原因変異の特定から成っており、本年度については当初の計画に沿って候補遺伝子の探索を実施した。 1、フモニシン産生能が喪失の原因がフモニシン遺伝子クラスターに存在する確証を得るために、連鎖解析に用いる交配子孫株をこれまでの10株から100株に増やしてフモニシン産生能を調べた。その結果、フモニシン産生能を持つものが81株、持たないものが19株であった。また、マーカーをこれまでの4種類から7種類に増やして100株子孫株全てのデータを取得したところ、58株については交配に用いたいずれかの親株とデータが一致し、それらは交配子孫株を得た際に混入した親株の分生胞子に由来した株と予想された。そこでそれらを除いた42株を用いて連鎖解析を行った結果、フモニシン遺伝子クラスター内の2つのマーカーがフモニシン産生能と完全連鎖していることが確認された。 2、フモニシン産生株では約50Kbpからなるフモニシン遺伝子クラスターの全塩基配列が解読されている。そこで新たにフモニシン産生能喪失株のフモニシン遺伝子クラスターの全塩基配列を解読してフモニシン産生株との違いを調べた。その結果、フモニシン産生能喪失株のフモニシン遺伝子クラスターにはフモニシン産生株のものと同様の構造が見られたが、各遺伝子には塩基配列で0.3-1.6%、アミノ酸配列で0.2-2.7%の違いが検出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、イネばか苗病菌の一部においてフモニシン産生能が喪失している原因を遺伝子レベルで解明することである。研究計画上、初年度となる今年度は連鎖解析の精度向上とフモニシン産生能喪失株のフモニシン遺伝子クラスターの全塩基配列の解読が予定されており、計画通りにそれら両方が終了した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定に沿って、次年度(平成25年度)にフモニシン遺伝子クラスターの発現比較、平成26年度に遺伝子導入によるフモニシン産生能の回復実験を実施し、最終的にフモニシン産生能が喪失した原因の変異を特定する。 フモニシン遺伝子クラスターの発現比較では、フモニシン産生株とフモニシン産生能喪失株を用いてクラスター内の遺伝子にフモニシン産生能喪失株で発現が異常となっているものがないかをRT-PCRで調べる。RT-PCRに必要なプライマーは、今回解読したフモニシン遺伝子クラスターの全塩基配列をもとに設計する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度(平成25年度)はRT-PCRによりフモニシン遺伝子クラスターの発現比較を実施する。フモニシン遺伝子クラスター内の全ての遺伝子発現を調べるには当初の予定より多くの費用が必要になったため、そのための物品費として使用する予定である。
|