研究課題
本研究はイネばか苗病菌の一部においてフモニシン産生能が喪失している原因を遺伝子レベルで解明することを目的としている。本年度は最終目標としていた原因変異を特定するため、遺伝子導入によるフモニシン産生能の回復実験を実施した。転写因子をコードするFUM21遺伝子、ポリケチド合成酵素をコードするFUM1遺伝子をそれぞれ単独で導入した形質転換体ではフモニシンの産生は認められなかった。また、FUM6、FUM7遺伝子領域、FUM8、FUM3、FUM10遺伝子領域、FUM11、FUM2、FUM13遺伝子領域、FUM14、FUM15、FUM16遺伝子領域それぞれを導入した形質転換体でもフモニシンの産生は認められなかった。そこでFUM6、FUM7遺伝子領域とFUM8、FUM3、FUM10、FUM11、FUM2、FUM13遺伝子領域を導入した形質転換体にFUM21遺伝子領域を追加導入したところ、フモニシン産生能の回復が認められた。従ってフモニシン産生能喪失の原因はクラスター中の複数の領域に分散しているものの、そのうちの1つはFUM21遺伝子に存在すると考えられた。フモニシン産生能喪失株のFUM21遺伝子はg.2551G>T(p.G678*)によりC末端側11アミノ酸が欠失している。そこで、先の実験でFUM21遺伝子領域を追加導入することでフモニシン産生能を回復させられることが分かっている形質転換体について、人工的な点変異導入でg.2551G>T(p.G678*)のみを置換したFUM21遺伝子領域を追加導入してみたところ、フモニシン産生能の回復が認められなかった。以上の結果からフモニシン産生能喪失の原因変異は、少なくともFUM21中のg.2551G>T(p.G678*)によるC末端側11アミノ酸が欠失と特定した。
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