研究課題/領域番号 |
24580476
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
苅田 修一 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 教授 (90233999)
|
キーワード | セルラーゼ / エンドグカナーゼ / 触媒モジュール / 糖質加水分解酵素 / 加水分解酵素ファミリー / 基質結合 |
研究概要 |
本年度は、以下の実験を行った。Clostridium thermocellum に由来する、糖質加水分解酵素ファミリー5に属する酵素のうち、Cel5A、Cel5Bについて、新たにクローニングを行い、部位特異変異導入により、これらのプロトンドナーであるグルタミン酸をグルタミンに変換した。これらの触媒ドメインの活性が失われたことを確認した上で、これらのタンパク質の不溶性基質に対する結合定数を、吸着試験とラングミュアの等温結合式より算出した。前年度に作成したCel5E、Cel44Aについても同様な試験を行った。その結果、Cel5Aは、酸膨潤セルロースに対して、5.1×10 5 M-1の結合定数で結合したが、Cel5BとCel5Eは、結合飽和が見られず、非特異的にセルロースに結合するのではないかと推定した。Cel5Aの値は、通常の糖質結合モジュールに匹敵する値で、このような酵素では、糖質結合モジュールの存在がなくても、不溶性基質に十分な活性を示すのではないかと考えた。一方、Cel44Aでは、結合定数は、9.5×10 3 M-1であり、この触媒モジュールでは、効率的な加水分解には、糖質結合モジュールの存在が不可欠になると考えられた。一方、一般的な酵素活性測定に使うタンパク質量での結合試験では、基質への結合量としてCel5E>Cel5B>Cel5Aの順であったが、活性としては、Cel5Aが一番高かった。このことは、Cel5B、Cel5Eの結合が飽和しなかったことと関連し、これらの酵素において非特異的な結合が起こっているのではないかと推定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
不溶性基質への結合が、飽和しないことを検証するために、再試を繰り返した。これに予定よりも多くの時間を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる本年度は、それぞれの触媒タンパク質と蛍光タンパク質との融合タンパク質を作成するとともに、実際の植物細胞壁において、これらのタンパク質が、細胞壁に集まるかどうかを検証するとともに、糖質結合モジュールのような、細胞特異性を酵素触媒がもっているかを確認する。 また、これらまでの結果を集約するとともに、残っているCel5CとCel5Dについての解析を同時に行う。
|