研究課題/領域番号 |
24580486
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
井上 大成 独立行政法人森林総合研究所, 多摩森林科学園, チーム長 (20353592)
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キーワード | 都市近郊緑地 / チョウ類 / 熊本市 / 盛岡市 |
研究概要 |
都市近郊緑地におけるチョウ類相の変遷を明らかにするために、森林総合研究所東北支所(盛岡市)および九州支所(熊本市)で、過去および最近に採集されたチョウの標本を整理して、所産種の一覧表を作成するとともに、現地調査を行った。これまでに東北支所では77種が、九州支所では66種のチョウが記録された(偶産種や絶滅種を含む)。このうち九州支所について、年代別に記録種の検討を行った。その結果、1970年代以前には生息していたヤマトスジグロシロチョウ、タイワンツバメシジミ、コムラサキ、ジャノメチョウ、ミヤマセセリ、ホソバセセリが2000年代には記録できず、絶滅したかまたは極端に衰亡している可能性が高いと考えられた。また国のレッドリストで絶滅危惧IB類とされているツマグロキチョウや、絶滅危惧II類のウラナミジャノメが、2000年代にも記録された。1970年代以前には記録がなかったミズイロオナガシジミ、ヤクシマルリシジミ、サツマシジミ、ヒメアカタテハ、タテハモドキ、ミドリヒョウモン、テングチョウ、ミヤマチャバネセセリが、2000年代には記録され、また最近各地で発生が報告されるようになった迷チョウのクロマダラソテツシジミも2000年代に採集された。このように九州支所では、1970年代以降、チョウ相にかなり大きな変化が見られることが明らかになった。関東地方の4か所(森林総合研究所本所、同千代田試験地、同多摩森林科学園、都立林試の森公園)において、チョウ類の定量データを得るために通年の野外調査(トランセクト調査)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画は、都市近郊緑地におけるチョウ類相の変遷を明らかにするために、森林総合研究所東北支所(盛岡市)および九州支所(熊本市)で、過去および最近に採集されたチョウの標本を整理して、所産種の一覧表を作成するとともに、現地調査を行うことなどであったが、これらを達成し、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、当初の予定通り研究を進める。特に支障となるような問題はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度には学会発表を2回(広島市の日本昆虫学会および鹿児島市の日本鱗翅学会)行う予定であるため、当年度は物品購入を控えた。 生じた額を2回の学会発表の内の1回分の旅費として充当する。
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