都市近郊緑地におけるチョウ類相の変遷を明らかにするために、森林総合研究所の本所、支所、試験地等で過去および最近に採集されたチョウの標本を整理して、所産種の一覧表を作成するとともに、現地調査を行った。最近約30年間に、関東以南の各地では近年、分布を北上させる傾向の強い種や外来種、林内性の種が新たに加わった一方で、レッドリスト種の一部が見られなくなるなどの変化が起こっていた。特にマレー型または中華型の地理的分布をする種、自然度が高い環境を好む種、幼虫または蛹越冬の種が、都市近郊で衰亡しやすい種であると考えられた。
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