研究課題/領域番号 |
24580489
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研究機関 | 独立行政法人農業環境技術研究所 |
研究代表者 |
金田 哲 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (00537920)
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研究分担者 |
小松崎 将一 茨城大学, 農学部, 教授 (10205510)
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キーワード | ミミズバイオマス / 団粒形成 / 自然草生栽培 / カバークロップ栽培 / 有機栽培 |
研究概要 |
本課題を遂行するために大きく2つの研究を行っている。1つはミミズの団粒形成機能の定量的評価、もう一つは農法がミミズ群集に及ぼす影響を評価する試験である。 昨年度は団粒形成機能を評価する研究では、土壌温度、水分、ミミズの体サイズとミミズの団粒形成速度の関係を温度水分が一定である室内実験で行った。本年度は一定温度水分条件下で得られたモデル式(土壌温度水分から団粒形成速度を推定する式)が、温度水分が変動する野外条件下においても適用可能かどうかを評価した。実験は、通水性通気性のある培養容器にミミズを投入し、1週間培養した。培養期間中の実験土壌の温度と水分を測定することで、温度、水分、ミミズの体サイズと団粒形成量の関係を調べた。実験は7月から12月まで行った。その結果、若干モデルによる推定値の方で団粒が多く形成される結果となったが、実測値と推定値が直線的な関係になることが明らかになり、野外においても室内で得られたモデル式が適用出来ることが明らかとなった。 農法がミミズ群集に及ぼす影響を評価する試験では、有機栽培、カバークロップ栽培、自然草生栽培がミミズ群集に及ぼす影響、および耕起や有機物施用といった要因がミミズ群集に及ぼす影響を2年連続で評価しており、本年度が2年目であった。調査の結果、カバークロップ栽培と自然草生栽培はミミズバイオマスに正の効果があることが明らかとなった。しかし、有機栽培はミミズのバイオマスへの影響は検出出来なかった。要因実験では、耕起処理はミミズバイオマスに負の効果をもたらし、年に2回耕起するだけでもミミズバイオマスが急減した。一方有機物施用は、正の効果をもたらすことが明らかとなった。有機栽培においてミミズのバイオマスへの影響が検出出来なかった要因として、年間耕起する回数が有機栽培区においても2回だったために、ミミズがほとんど定着出来ていなかったと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに、モデル生物であるサクラミミズの団粒形成速度を温度、水分、ミミズの体サイズから推定出来るモデル式を作成できた。室内実験で得られたモデル式が、野外条件下で適用出来るかどうかは、研究遂行上大きな課題であったが、野外条件下での団粒形成速度を室内で得られたモデル式から説明することが出来た。 農法とミミズ群集の関係を評価する試験では、有機栽培、カバークロップ栽培、自然草生栽培などの環境保全型栽培がミミズバイオマスに及ぼす影響が明らかになった。さらに要因実験では耕起の負の効果が有機物施用の正の効果よりも強く、年間2回程度の耕起でもミミズバイオマスが急減することが明らかになった。一方要因実験で土壌温度、水分を制御する試験は、圃場を予定通り設置しているものの、ミミズの定着が未だ十分ではない。このため、現在用いている圃場で土壌温度、水分のデータを採取することを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、土壌環境要因(温度と水分)とミミズの団粒形成速度の関係および農法とミミズ群集の関係を評価してきた。 最終年度は、農法とミミズ群集の関係を評価する試験において、まだいくつかの種のミミズが未同定であるため、これらの種名を調べる。また、要因実験で土壌温度、水分を制御する試験では、ミミズが十分定着していなかった。このため、現在調査している圃場で土壌温度水分のデータを取り、栽培体系と温度水分の関係や温度水分とミミズ群集の関係を評価する。これまで有機栽培試験圃場と耕起および有機物施用処理の要因実験圃場では、土壌温度と水分のデータを調査していなかった。このため、これらの圃場で土壌温度と水分の調査を開始する。これらのデータを得ることで、農法が変化したときのミミズ群集と土壌温度水分の推定、およびそれぞれの栽培条件での年間の団粒形成量が推定出来るようになり、本研究課題が遂行出来ると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度はミミズの種同定や群集解析を行う契約職員が雇えず、本年度も雇える見込みがなかった。このため、本年度は種同定など雇用予定者の作業を自ら行った。このため、雇用予定分の人件費の抑制につながった。一方で溶存炭素分析等の分析が若干滞る結果となってしまった。 最終年度は、温度水分データの収集、未分析サンプルの分析および解析を進め、研究成果の公表を促進する。これに向けて、分析を行う契約職員を雇用する。また英文校閲会社を活用し、権威のある海外の雑誌に研究成果を公表出来るよう進める。
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