研究概要 |
微生物の中で最も高温で結晶性セルロースを分解できる嫌気性高度好熱細菌Caldicellulosiruptor bescii (C. bescii)の細胞外分泌型セルラーゼ系を分子生物学的に解明することにより、これまでにない高活性なセルロース分解酵素の調製に向けた基礎技術を検討することが目的である。 方法:(1)C. besciiを嫌気培養(75℃)して、細胞外に分泌されたタンパク質を遠心分離法で回収した。その画分を硫安沈殿で濃縮(C. bescii細胞外分泌型セルラーゼ系)して、実験に用いた。(2)C. bescii細胞外分泌型セルラーゼ系をSDS-PAGEで分離後、バンドを切り出した。トリプシン処理した後、MALDI TOF MASでマルチドメインセルラーゼ遺伝子を同定した。(3)トリコデルマとの活性比較では、市販のT. reesei由来酵素(セルクラスト、シグマ)を使用した。 結果:(1)C. besciiセルラーゼ系をSDS-PAGE、MASで解析したところGH5, 9, 10, 44, 48とCBM3から構成される4つのマルチドメインセルラーゼが主成分であることが分かった。(2)C. besciiセルラーゼ系の様々な基質に対する活性を決定した。(3)C. besciiセルラーゼ系とトリコデルマ由来セルラーゼのAvicel, チモシー牧草, イナワラ(10 g/L)に対する分解活性を比較したところ、C. besciiセルラーゼはその3つの基質に対しておよそ2.0~2.5高い活性があることが分かった。
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