研究成果の概要 |
植物代謝経路の多様性は植物進化過程と深く関わる.ゲノム配列解析によって,リグニン蓄積能が無いコケ植物にもモノリグノール生合成遺伝子を特定した.コケ植物のモノリグノール経路酵素(4CL, HCT, CYP98A)を異種発現系で発現させ,それらの触媒反応を調べたところ,コケHCTに高等植物と同様の活性を認めたが,コケCYP98AはHCT反応生成物を基質とすることは無かった.すなわち,コケがリグニンを蓄積しない理由として,CYP98A酵素反応の欠損が明らかとなった.このことは,維管束植物への進化過程でコケ植物のCYP98Aの基質反応性が多様化によってリグニン生合成が進化したことを示している.
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