研究課題/領域番号 |
24580499
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
山下 均 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (20342967)
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キーワード | 褐色脂肪細胞 |
研究概要 |
1、新規遺伝子Creg1の褐色脂肪細胞分化促進作用の検討 個体レベルでのCreg1作用を検討するためにCreg1発現アデノウイルスをマウスの皮下白色脂肪部位に投与し、褐色脂肪化に対する効果を検討した。コントロールウイルス投与群に比べて、Creg1発現ウイルス投与群の皮下白色脂肪組織において褐色脂肪細胞分化のマーカーであるUCP1の発現レベルが有意に上昇していることが観察されたことから、Creg1は生体内においても褐色脂肪細胞の分化を促進することが強く示唆された。次に、Creg1タンパクを調製し褐色脂肪細胞分化培養系に添加した結果、UCP1の発現レベルが有意に上昇し、Creg1が未分化細胞に作用して褐色脂肪細胞への分化を促進することが確認された。さらに、皮下埋込み型ポンプを用いて精製Creg1を高脂肪食摂取マウスに2週間投与し、肥満や代謝に対するCreg1の効果を検討した。マウスの体重は投与2週間後においてコントロール(PBS投与)群とCreg1投与群の間に有意な差は認められなかった。各脂肪組織量についても両群に差は認められなかったが、肝臓重量並びに中性脂肪含量がCreg1投与群で有意に低下していることが明らかとなった。以上の結果は、2週間のCreg1投与により高脂肪食摂取マウスの脂質代謝が改善したことを示唆するものと考えられた。 2、Creg1-Tgマウスの作製 Creg1トランスジーンを作製し、外部業者に委託してCreg1-Tgマウスの作製を試みた。計360個の受精卵にDNAをインジェクションし、最終的にファウンダーマウスが1匹生まれたが生後1ヶ月で死亡した。 3、その他の転写関連因子の評価 細胞培養系を用いた解析から、褐色脂肪細胞分化に係る遺伝子(Factor K)を見出した。現在特許申請準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アデノウイルス遺伝子発現系や精製蛋白質を用いた検討から、Creg1が実際に個体レベルで褐色脂肪細胞の分化を促進するばかりでなく、メタボ病態の改善に働く可能性が示唆された。Creg1の作用メカニズムの理解も前進しつつある。さらに別の新規遺伝子の存在も明らかとなった。トランスジェニックマウスの作製は成功していないが、計画はほぼ順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、Creg1の作用メカニズムの解明を進めるとともに、トランスジェニックマウスの作製を再度試みる。作製したトランスジェニックマウスを用いて表現型解析を進め、Creg1の新規褐色脂肪細胞分化誘導因子としての機能を明らかにする。また、新たに見出したFactorKの機能についてもさらに検討を行い褐色脂肪細胞分化における役割を明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
トランスジェニックマウス作製の外部委託に~50万円使用したが、結果的に作製に失敗したため関連実験ができなかった為。 使用するマウスstrainを変えてトランスジェニックマウス作製を再度試み、その解析に使用する。
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