研究課題
平成24・25年度において,多環式生物活性物質haouamine Bの初期提唱構造であったiso-haouamine Bの形式合成を達成したため,平成26年度は,標的天然物であるhaouamine A・Bおよびその類縁体の合成を検討した.対称構造を有する芳香族アルデヒドとアミノホスホノ酢酸エステルから得られたエナミドエステルの不斉還元によりフェニルアラニン誘導体を90%以上の光学純度で合成した後,数工程を経て,アンチWacker型環化反応に必要なアルデヒドを調製した.アリールボロン酸とパラジウム触媒を用いたアンチWacker型環化反応,酸化,Grignard試薬の1,2‐付加,Friedel-Crafts型環化反応により,光学純度の低下を伴うことなく,インデノテトラヒドロピリジンを高収率で得ることに成功した.2-シクロへキセン-1-オンより8工程を経て得られた光学的に純粋なホウ素化合物との鈴木カップリング反応を行った後,インデノテトラヒドロピリジン上のフェノール性水酸基の位置選択的な還元,アミノアルコールへの変換,(シアノメチル)トリメチルホスホニウムヨージドを用いたマクロ環化反応により,haouamine A・Bの形式合成を達成した.さらに,合成中間体を利用したiso-haouamine Bの形式合成,デオキシ類縁体の合成中間体の調製にも成功した.本合成法においては,アリールボロン酸,Grignard試薬,フェノール性水酸基の変換反応の組み合わせによって,多様な類縁体が合成可能なため,それらの細胞毒性を評価し,構造‐活性相関研究に発展させていく予定である.なお,当初予定していた分子内アンチWacker型環化反応によるアザ‐パラシクロファン構築も試みたが,望む生成物を得ることはできなかった.
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Chemical Communications
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