筆者が開発したアンチWacker型環化反応における環化段階が,パラジウム触媒の単独作用,もしくは有機金属試薬との共同作用によって行われているのか明らかにすべく,本反応に対する有機金属試薬の影響を調査したところ,前者の機構を支持する結果が得られた.さらに,本反応の有用性を示す目的から,抗腫瘍活性を有するハオウアミン類の合成を行った.本反応と分子内Friedel-Crafts反応を用いたインデノ-テトラヒドロピリジンの構築,鈴木‐宮浦クロスカップリング反応,(シアノメチル)トリメチルホスホニウムヨージドを用いたマクロ環化反応を経て,ハオウアミンA, Bの形式合成を達成することができた.
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