研究課題
測定対象の分子種によって蛍光が変化する蛍光センサーは、分析化学のみならず、細胞生物学の研究においても必須の分子ツールである。本研究課題は、多種類の蛍光物質から構成されるライブラリーの構築および、その構築に用いた合成法を基にして、有用な機能を持った蛍光センサーの開発を目指す研究である。平成26年度においては、昨年度までにライブラリーから得られた蛍光センサーの適切な誘導体化を行うことにより、さらに有用な機能を持ったセンサーの開発を行った。具体的には、pH8~10という特定のpH領域でのみ蛍光を発する機能を持つ蛍光センサーの誘導体展開を行った。その結果、蛍光強度が増大するpH領域がpH 8付近またはpH 6付近等の、より狭いpH領域選択的に蛍光強度が増大するセンサーの開発に成功した。さらに、蛍光団をクマリンからキサンテンへと変換することにより、従来のセンサーとは異なる波長の蛍光による、同様のpH領域検出能を持ったセンサーの開発にも成功した。こうしたセンサー群は、ガン等の疾患組織選択的なイメージングや、pHが段階的に変化するエンドサイトーシス過程の可視化解析等に用いることができる有用な分子である。また、溶媒の粘性に応じて蛍光波長が変化する蛍光センサーに、細胞膜への集積能があるファルネシル基を導入し、細胞膜の粘性変化を選択的に検出する機能を付与した誘導体の合成にも成功した。本センサーは、細胞膜の粘性が変化する循環器系の疾患の検出等に有用な分子となる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://www.tmd.ac.jp/mri/omc/index1.html