我々は有機ハロゲン化合物の創製の新手法開発と塩素化された特異な構造からなる抗生物質 napyradiomycin A1(NA)の合成経路の確立に向けた研究を展開した.検討の結果,(±)-NAの全合成を達成すると共に,人工的に創製した種々のアミン類のスクリーニングにより,アリルアルコールの不斉ジクロル化に有効な触媒を得た.また,(DHQD)2PHAL-PhICl2を用いるNicolaou条件下,デヒドロ-α-ラパコン誘導体のジクロロ化が若干ながら不斉を誘起することを見出し,上記天然物の不斉合成に繋がる知見を得た.さらに,NA誘導体の抗菌活性評価によって医薬資源開拓に資する化合物を見出した.
|