特徴的な不斉場を形成するキラルスピロ骨格は、類似のビナフチル骨格よりも反応基質が深く取り込まれるため高い不斉導入効率を示すことが多く、その有用性は明らかとなりつつある。しかし光学的に純粋なスピロ化合物を得るためには、多くの場合において煩わしい光学分割作業が必要であった。そこで本問題を克服するため、環状ケトンのエナンチオ選択的分子内α位アリール化反応によるスピロ[4.4]ノナン類の効率合成等を試みた。結果、Pd-Josiphos触媒を用いると、定量的かつ83% eeで目的スピロ化合物が得られることを見出した。生成物の絶対配置は、単結晶X線構造解析によりS体であることを確認した。
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