研究課題/領域番号 |
24590011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
石原 淳 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80250413)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クライゼン転位反応 / 不斉合成 / 天然物合成 |
研究概要 |
申請者が開発したインジウムを用いるReformatsky-Claisen転位反応を用い、抗菌活性、殺真菌活性等の生物活性を有するビスγ-ラクトン天然物の合成を検討した。ジヒドロスポロスリロリドは2010年に真菌Xylariaから単離されたビスγ-ラクトン天然物である。山本、Cordovaの手法を参考に、プロリン触媒を用いて、光学活性アリルアルコールを合成した。さらにWittig反応などを経て、α,β-不飽和エステルへと変換した。次に第二級水酸基をブロモアセチルブロミドを用いてアシル化した後に、インジウムを用いてReformatsky-Claisen転位反応を行った。反応はインジウムエノラートを経由し生じたシリルエノールエーテルが転位することで進行し、ビスγ-ラクトン天然物の全ての炭素骨格を有する中間体が生成した。これを四酸化オスミウムで処理すると、アリル歪みおよびエステルカルボニルとのキレーション効果により、望む方向からジヒドロキシ化が進行し、ジヒドロキシ体が生成した。これは直ちに系中で自発的に環化し望む天然物ジヒドロスポロスリロリドを与えた。得られた合成品は天然物の報告値と完全に一致し、これにより全合成が完成した。本合成法は特に保護基を使用せずに、出発原料からわずか6工程の操作で天然物の合成が可能であった。本合成戦略を用いれば,側鎖炭素数の異なるデヒドロカナデンソリドの合成も可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インジウムを用いるReformatsky-Claisen転位反応を鍵反応とすることで天然物ジヒドロスポロスリロリドの初めての全合成を達成した。天然物の不斉合成が成功したことで,当初の目的を達成したと考えている。さらにデヒドロカナデンソリドに関しても、全合成に向けて研究が進んでおり,概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のアプローチを行う予定である。 1)アクリラートIreland-Claisen転位反応を行い,エチソリド,カナデンソリド,スポロスリロリドの全合成を行う。2)不斉反応へ展開する。 不斉Claisen転位反応の触媒としてシンコナアルカロイド誘導体を初め、種々のアルカロイドを用い、不斉誘導が可能かどうか検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)消耗品費 100万円 内 合成試薬 60万円(15千円x 40本)、有機溶剤 10万円(5千円 x 20缶)、シリカゲル(分離精製用)20万円(10 kg x 4箱)、ガラス器具 10万円(5千円 x 20個) 2)旅費 20万円 (国内、研究成果発表)
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