研究課題/領域番号 |
24590012
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
栗山 正巳 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40411087)
|
キーワード | イミダゾール / カルベン / 遷移金属 / 触媒反応 |
研究概要 |
1.新規配位子前駆体の開発:連続型反応を促進すると共に優れた基質耐性を与える触媒系を確立するために、新規含窒素複素環カルベン配位子前駆体の開発を行った。C-N二座型配位子前駆体およびC-π二座型配位子前駆体の設計および合成に着手したところ、かさ高い構造をもつ配位子前駆体に対しては既存の手法では低収率を与えた。そのため、合成反応の最適化を種々試みたところ、高度にかさ高い構造の場合でも十分な収率の向上をはかることが可能となった。本改良合成法は、ワンポット型イミダゾール合成とイミダゾールのアルキル化による2工程の合成反応から構成されており、様々な置換基をもつ一連のC-N二座型配位子前駆体およびC-π二座型配位子前駆体を合成することに成功した。 2.配位子前駆体の触媒反応における評価:新たに開発したC-N二座型配位子前駆体およびC-π二座型配位子前駆体の効果を種々の反応において検証した。まず最初に、パラジウム触媒によるカップリング系の反応に適用したところ、C-N二座型配位子前駆体が有効性を持つことが明らかとなった。その一方で、アルコール類の触媒的酸化においては芳しい結果を与えなかった。C-π二座型配位子前駆体は、カップリング系反応において基質耐性に関して劣ることが示された。しかしながら、触媒的酸化および還元においては触媒性能を高める有効性が確認された。以上の結果より、副配位部に配置される元素や相互作用の種類を選択することにより、異なる特徴や機能を触媒系に対して効果的に付与可能であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
個別の反応に対する検討を行うなかで触媒系の見直しをはかることが必要と考えるに至り、配位子構造等の基本的な事項の検討に対して時間を取られたことによって基礎的な知見の集積と引き替えに研究進度に影響が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
触媒系に関する基礎的事項の検討により個別の反応に対する知見の集積が進んでおり、これを基盤として連続型へと展開した際の最適化を効率良く進めることで目的とする反応系の確立をはかる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
触媒系に関する基礎的事項の検討に時間を取られたことによって連続反応への展開に遅れが生じているため。 基礎的事項の検討に時間を取られたことが原因となり研究費に繰り越しが生じている状況であるが、今後は応用的展開へと集約化していくことによって研究推進の強化をはかり、研究予算の執行を当初の予定に戻して行く予定である。
|