研究課題
本研究の目的は、茶カテキンの代謝物であるγ-ラクトン化合物を光学的に純粋に合成を行なった上で、活性の評価を行なうことである。その上で、カテキンの活性本体がγ-ラクトン誘導体であるかを探ることとし、(+)-カテキンや(-)エピカテキン誘導体の代謝物とされるγ-ブチロラクトン化合物の合成を行ってきた。申請者は、昨年度までに10種のγ-ブチロラクトン代謝物と4種の新規にデザインした誘導体(非天然物)を加えた計14種(R体およびS体の両鏡像体7種)の代謝物の合成ルートを確立し、目的とするγ-ラクトン誘導体14種をグラムスケールで合成し、活性試験を行える体制を整えた。これらを用いて、共同研究者とガン細胞増殖阻害増強効果を検討した。ガン細胞として、白血病細胞HL-60、子宮頸ガン細胞HeLa, HeLaS3細胞、ヒト肺ガン細胞A549細胞、肝臓ガン細胞HepG2を培養したものに、代謝分解物とEGCGを加え培養を行ったところ、HL-60細胞に対してEGCGが非常に低濃度で強い増殖阻害活性を示した。昨年度までは、生細胞数測定試薬SFによる生細胞数の測定から増殖阻害活性を求めていたが、より構造-活性相関を正確に評価可能なアッセイ法の条件検討を進め、MTT法により評価できることを明らかとした。これにより、培地に含まれるフェノールレッドや化合物由来の色がデータに影響している可能性を排除することができた。芳香環の3,5あるいは3,4,5位に水酸基を持つγ-ラクトン化合物では、強い阻害活性がみられた。R体に比べS体の活性が高く、EGCG添加によるHL-60細胞への細胞増殖抑制効果は、水酸基の位置による影響、及び、水酸基の数による影響が見られた。この結果についての特許出願を行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) 産業財産権 (1件)
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