研究課題
1) p21rasファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤 TAN-1813の全合成に関する研究今年度はスクシンイミドセグメントおよびデカリン環セグメントから合成したカップリング体を用い、スクシンイミド部のマレイミドへの変換を検討した。しかしながら、種々条件検討を行ったが、マレイミドへ変換することはできなかった。この結果から、マレイミドを用いた新規カップリング反応について種々検討を行った。カップリング反応の足がかりとなる脱離基を有するマレイミドの合成法は限られていたが、フェニルチオ基を有するスクシンイミドに対し、Pummerer転位と塩基処理を行うことでフェニルチオ基を有するマレイミドセグメントの合成に成功した。このようにして合成したマレイミドセグメントに対し、ヨウ化サマリウムを作用させることでデカリン環セグメントとのカップリング反応が進行することを見いだした。本反応はフェニルチオ基を脱離基とした前例のないカップリング反応であり、二置換マレイミドの一般的合成法として有用であると考えている。現在、得られたカップリング体からTAN-1813への変換について検討している。2)ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤 FK228 の類縁体合成に関する研究昨年度までに得られた知見からC-5位を構成するアミノ酸において D-アミノ酸由来の類縁体が HDAC 阻害活性を損なうことなくFK228よりも高いアイソフォーム選択性を示すことを見いだしている。さらに、芳香環を有する類縁体がヒトがん細胞パネルでも優れた増殖抑制活性を示すことが明らかとなったことから、今年度は芳香環上の置換基の影響について検討を行った。芳香環の置換様式を変えた類縁体をいくつか合成し、生物活性を評価した結果、C-5位にナフチルメチル基を有する類縁体が特に優れた生物活性を示すことを見いだした。
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