研究課題
MRSAは代表的な薬剤耐性菌であり、その蔓延は近年深刻な社会問題となっている。Naphthacemycin類は、北里生命科学研究所においてMRSAに対するイミペネムの活性を増強する物質として、放線菌Streptomyces sp. KB3346-5株の培養液より単離された天然物である。Naphthacemycin類は、A、B、C、D環からなるナフタセン骨格を有しており、そのD環にE環がビアリール結合を介して連結した特徴的な新規骨格を有している。本研究テーマでは、新たな抗MRSA薬創製を目標に、強い抗MRSA活性を示すnaphthacemycin-A9をターゲットとした全合成法の確立行うことでnaphthacemycin類の安定供給法を確保するとともに、天然物より優れた化合物を創製することを目的としている。前年度までにNaphthacemycin類の基本骨格となるABCD環部分の構築法の確立検討をしており、その結果、簡略化した骨格ではあるが、その合成法の確立に成功している。最終年度である平成26年度では包括的なnaphthacemycin-A群の合成計画を考え、鈴木-宮浦カップリング反応によるビアリール結合形成、クロムカルベン錯体に対するアルキン体とのデッツ反応を利用たC環構築、Friedel-Crafts反応によりB環構築を鍵反応としたnaphthacemycin-A群の全合成を検討し、その全合成を達成した。更に種々の誘導体の合成を行った。
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